徒手筋力テストについてのアンケート調査

説明

【目的】<BR>ダニエルらの徒手筋力テスト(以下、MMT)は第7版に至り、5版と6版では2および3+以上の判定基準などが大幅に変更された。MMTの段階付けは、検者、被検者の年齢、体格などを考慮するため曖昧となる他に多数の問題点などが指摘され、反対に簡便性をはじめ良好な再現性などが報告されている。<BR>本研究の目的は、現職の理学療法士がMMTにおける3+以上の段階付けについての考え、およびMMTの使用状況などについて調査して検討することである。<BR>【方法】<BR>アンケート調査表は、全国47都道府県それぞれに最低3施設以上、あらかじめ電話でアンケート調査について了解が得られた合計212施設の理学療法士に送付された。施設は、演者らの知人の所属する施設および日本理学療法士協会の理学療法士名簿からランダムに選出された。調査期間は、平成15年10月1日から10月31日まで、1,500名から回答を得た。<BR>アンケート調査表の主な項目は、属性(性別、経験年数、実務別職種)、MMTの使用状況、客観性・信頼性、今後のMMTおよび自由意見などである。結果は有効回答数とその割合を示す。<BR>【結果】<BR>1)属性では、男性796名、女性704名でほぼ同数、経験年数が1~2年387名、3~5年361名、6~10年331名、11~20年312名がほぼ同数、21年以上108名、臨床職1,365名(91%)、教育職121名(8%)<BR>2)自分が評価しているMMTの段階付けは客観・信頼・再現がある、はい520名(35%)、いいえ948名(65%)<BR>3)MMTを効果判定に使用している、はい1,089名(74%)、いいえ387名(26%)<BR>4)具体的な負荷量として使用できる、はい412名(28%)、いいえ1,061名(72%) <BR>5)将来に渡ってMMTが使用される、はい724名(49%)、いいえ184名(12%)、分らない569名(39%)<BR>【考察】<BR>これまで現職の理学療法士がMMTをどのように考えているかの報告はなく、そのために全国の施設に所属する理学療法士のMMTに対する考えを調査した。<BR>回答者は男女比率がほぼ同率、経験年数は5年以内がほほ半数を占め近年の理学療法士の現状を反映し、臨床職が9割を占めるという条件であった。<BR>MMTの段階付けで客観性などがないとの回答は65%に及んでいたが、効果判定に使用しているが74%にも達していた。このことは、MMTは客観性などがないにもかかわらず効果判定に使用するという矛盾を包括しつつも、唯一の簡便な方法、または医師など他職種に通じる共通評価法として使用されていることが伺われた。MMTの段階付けを具体的な筋力トレーニングの負荷量として使用できないが72%もあり、負荷量は他の方法で決めていることが推測された。50%の理学療法士は将来もMMTが使用されると回答しており、指摘されている問題点などを改善する必要性が痛感された。<BR>【まとめ】

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), A1005-A1005, 2004

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541206400
  • NII論文ID
    130004577837
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.a1005.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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