力士の頚部前後屈筋力と膝屈伸筋力・体重の関係検討

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • けがの予防を目指して その3

抄録

【はじめに】<BR>コンタクトスポーツで前方推進力を十分に発揮させるには下肢の筋力のみでなく、コンタクト部位の支持性が重要である。相撲の場合は主に上肢・頚部・体幹であり、下肢の筋力が強くてもコンタクト部位の支持性が弱ければ十分な推進力とはならないと考える。今回、頚部前後屈筋力について膝屈伸筋力・体重を比較検討した。その結果、力士の筋力特性について一知見を得たのでここに報告する。<BR>【対象者と方法】<BR>日本相撲協会A部屋所属の十両から序の口までの力士24名(年齢22±4.9歳・体重129±21.6kg)の膝屈伸筋力をCybex6000、頚部前後屈筋力をPower TrackIIを用いて測定した。Cybexでは通常の膝屈伸筋力測定方法に準じで測定を行い、測定角速度は0°(膝屈曲位70°)、60°、180°、300°deg/secである。0°deg/secでの伸筋ピークトルク値が優位な脚の各ピークトルク値を検討値とした。Power TrackIIでは力士の筋力に対応するために昇降式テーブル裏にセンサーを取り付け、前屈は臥位の対象者の額中央、後屈は後頭部中央にセンサーが隙間なく当たるように設定した。重力に抗して前屈、後屈の等尺性筋力を2回測定し、その平均値を検討値とした。<BR>【結果】<BR>1.頚部前屈筋力は膝伸筋力と正の相関が見られた(p<0.05・伸展60°deg/secのみp<0.1)。2.頚部後屈筋力は膝伸筋力と正の相関が見られた(p<0.05)。3.頚部前後屈筋力は膝屈筋力と一部(屈曲300°deg/secのみp<0.05)を除き相関が見られなかった。4.体重と頚部前後屈筋力には正の相関が見られた(前屈筋p<0.1・後屈筋p<0.05)。5.体重と膝屈伸筋力には相関が見られなかった。6. 前方推進力に関与すると思われる体重と膝伸筋力の和と頚部筋力には高い正の相関が見られた(前屈筋p<0.02・後屈筋p<0.01)。<BR>【考察】<BR>前方推進力と考えられる膝伸筋力と体重はコンタクト部位である頚部筋力と相関があった。この結果はコンタクト部位の支持筋力と前方推進力としての膝伸筋力・体重の重要性を物語っている。しかしながら、対象者が変わっても前回報告同様に体重と膝屈伸筋力には相関がなく、前回報告した膝伸筋力は160kgの力士がピークであったことを考えると、体重の重い力士ほど前方推進力は膝伸筋力ではなく、体重に頼っていると言わざるを得ない。番付別平均体重は上位ほど重くなる。番付を上げるために、安易に体重を増やすことは危険であり、同時に自重に見合った膝筋力、頚部筋力の強化が必要であることを再確認できた。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2006 (0), A0550-A0550, 2007

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541257472
  • NII論文ID
    130005013400
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.a0550.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ