成長期側弯症患者が手術に至った要因
書誌事項
- タイトル別名
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- 新たな評価法を用いて
説明
【目的】成長期に生じた側弯が患者やその親の精神面に与える影響は決して無視できるものではない。今回手術患者を対象に成長期側弯症患者が手術に至った要因は何であるかを調査するため、Pollyらが作成したWalter Reed Visual Assessment Scale(以下Walter Reed Scale)を用い親子で比較し、またSRSとSF-36より患者満足度とQOLについて検討し若干の知見を得たので報告する.<BR>【対象と方法】対象は2004年1月から2005年6月までに当院で側弯症と診断され矯正固定術を施行した63例で男性8例、女性55例であった。問診の信頼性を得るため対象年齢を知的障害のない10歳以上の学齢期(10-18歳)とし、平均年齢14歳、平均身長151.5±9.7cm、平均体重43.8±9.3kgであった。疾患の内訳は、思春期特発性側弯症44例、先天性側弯症4例、症候性側弯症14例、椎弓切除後後側弯症1例であった。術前評価として、入院時患者にWalter Reed Scale、SRS-24およびSF-36を実施し、同様に親にもWalter Reed Scaleを施行した。Walter Reed Scaleは各項目5点満点とし点数の高いものほど変形が高度とした。Walter Reed Scale9項目を親子間で比較し、またRib Hump、Lumbar Hump、体幹変形、肩の高さ、胸椎後方突出の外観5項目から最も悩んでいる項目を選択してもらい、親子間での一致率を求めた.また、カルテより術前の治療歴、術前メジャーカーブのCobb角を調査し、術前の治療歴別SRS、SF-36を比較した.統計学的処理はWalter Reed Scaleにおいて対応のあるt-検定を、SRS、SF-36においてKruskal-Wallisの検定を行い、1%未満を有意差ありとした.<BR>【結果】Walter Reed Scaleでは9項目すべてにおいて親の得点が高く、肩甲骨のねじれ、肩甲骨の突出で有意差が認められた。外観5項目における親子間での一致率は36.1%しかなく他の例では異なっていた。SRS、SF-36において術前の治療歴別ではすべて有意差は認められなかったものの、SRSのsatisfactionにおいて装具療法を行ってきた者の満足度が低く、民間療法を行ってきた者の満足度が高かった.Cobb角においては装具療法を行ってきた者のみ小さい角度で手術に至っており、民間療法、治療を行ってこなかった者はほぼ同値を示した.<BR>【結論】手術に至った患者において親は肩甲帯やHump等本人が確認できない項目で高得点を示しており親子間で外観についての着目点が異なっていた。またWalter Reed Scale総得点が患者本人よりも親が高く、手術に至る要因として本人の意見のみでなく親の意見も重視されていると考えられた。術前の治療歴については民間療法で何かをやってもらっているという満足度は高かったものの、医師の診察を受けずに角度が悪化しており、変形が高度になってから手術に至るのではないかと考えられた.<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), C0362-C0362, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680541268736
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- NII論文ID
- 130004579291
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可