協調運動障害を持つ患者におけるheel-knee testの再現性と歩行能力との関連性

  • Kubota Kenta
    千歳豊友会病院 リハビリテーション科
  • Fukui Mizue
    千歳豊友会病院 リハビリテーション科
  • Ito Toshikazu
    北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科
  • Kumamoto Tuneo
    北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科

Description

【はじめに】<BR> 協調運動障害の検査法として,従来から踵膝試験(以下,HKT)がある.HKTの定量的評価として,古くから多くの研究が行なわれてきているが,特殊な機器を用いる検討が多く,一般には普及していない.また臨床では10回遂行時間の計測も行なわれているが定量的評価としてはなっていない.さらに成書により検査方法も様々であり,股関節外内転動作を含めた方法も散見されるが,原法との違いについて,詳細な検討には至っていない.<BR> 今回演者らは,下肢協調運動障害検査の定量化に関する一助を得る事を目的に,広く普及しているHKTと,成書にある検査肢を軽く外転する位置を側方点と定め(以下,側方点),膝蓋骨→足背→側方点の3点間動作試験(以下,改良HKT)を実施し,検査の遂行時間,規定した範囲からずれた回数(以下,エラー数)の計測を行ない,評価の信頼性,歩行能力との関連性を検討する事とした.<BR><BR>【対象】<BR> 対象は,協調運動障害を有する患者14名(平均年齢58.4±15.2歳,男性10名,女性4名)とし,介助歩行者,迷路性失調を有する患者,または麻痺がある場合,下肢Brunnstrom stage VI未満の患者は対象から除外した.対象の内訳は,小脳梗塞・出血3名,脳幹梗塞3名,視床出血3名,SCD4名,脳幹出血後の視床出血1名であった.<BR><BR>【方法】<BR> 方法は,対象にHKT,改良HKTを各々10回行ない,所要時間を遂行時間として計測した.またその際,着踵する各範囲(膝蓋骨,足背,側方点)でのエラー数を個々に計測した.また,各範囲でのエラー数の総計をtotalエラー数とした.<BR> 検討した歩行能力は,10m歩行時間,努力性10m歩行時間,timed up and go testとし,HKT,改良HKTの遂行時間及びエラー数の検者内および検者間信頼性,遂行時間及びエラー数と歩行能力との相関を求めた.<BR> 統計処理には,SPSS統計Ver10.1を用い,検者内および検者間信頼性には級内相関係数,遂行時間及びエラー数と歩行能力との検討にはSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準は5%とした.<BR><BR>【結果と考察】<BR> 両テストの遂行時間,エラー数は共に検者内および検者間信頼性が認められた.歩行能力と遂行時間の検討では,両テスト共に相関を認めなかった.しかし歩行能力とエラー数の検討では,両テスト共にtotalエラー数と歩行能力間に相関を認めた.また改良HKTでは,遂行時間・エラー数がHKTよりも高い信頼性を認め,側方点エラー数と歩行能力間に高い相関を認めた.<BR> 以上のことより改良HKT評価時のエラー数の計測は,より歩行能力を反映した評価である可能性が示唆され,臨床評価法として有用と考えられた.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541303040
  • NII Article ID
    130005012373
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.b0125.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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