無酸素性代謝閾値以下の運動後心拍数回復時間の解析

DOI
  • 古川 順光
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 中俣 修
    文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科
  • 池田 由美
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 竹井 仁
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 神尾 博代
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 信太 奈美
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 中島 愛
    首都大学東京大学院人間健康科学研究科
  • 来間 弘展
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 新田 收
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 金子 誠喜
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 池田 誠
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
  • 柳澤 健
    首都大学東京健康福祉学部理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • 第2報

抄録

【目的】本研究は,無酸素性代謝閾値(anaerobic threshold:AT)を基準に強度設定した運動後の心拍数(heart rate:HR)の回復時間を,AT以下の運動強度トレーニング処方の指標として用いる可能性について検討することを目的とした.<BR>【方法】対象は健常大学生男女各8名の計16名(平均年齢20.6歳,平均身長166.9 cm,平均体重58.0 kg)であった.ヘルシンキ宣言に基づき,被験者に実験の目的・危険性等を説明し書面で承諾を得た.被験者の運動課題は,運動前安静10分間,自転車エルゴメータ(エアロバイク75XL,コンビ)駆動6分間,運動後安静15分間とし,1日以上の間隔を空けて試行1~3の計3回行った.各試行の負荷量[W]は,呼吸代謝測定装置(AE-300S,ミナト医科学)およびエルゴメータを用いて事前に測定したAT時の仕事率[W]を基にして,試行1:100%AT,試行2:80%AT,試行3:60%ATに設定した.HR[beats・min-1]は心拍モニター(S810i,Polar)により測定し,運動前安静時後半5分間の平均HR(HR rest),運動負荷中4~6分の平均HR(HR ex),運動後のHR回復時間(heart rate recovery time:HR-RT)[sec]を算出した.なお,HR-RTは運動終了後のHR10拍の平均値が,HR rest±1標準偏差の範囲に入った時点を回復時点と規定し算出した.統計解析は,SPSS Ver.12を使用し一元配置分散分析・回帰分析(p<0.05)を行い,比較,検討を行った.<BR>【結果】1) AT時の仕事率の平均値は 50.7 Wであった.2)HR rest平均値は,試行1:83.2,試行2:79.7,試行3:81.3,HR ex平均値は,試行1:125.8,試行2:109.5,試行3:101.1 beats・min-1であった.3)各試行でのHR-RT平均値は,試行1:139.7,試行2:59.4,試行3:37.0 secであった.4)HR-RT(Y)と各被験者のHR ex(X1)およびHR rest(X2)は,Y=3.77 X1-2.06 X2-174(r=0.46,p<0.001)の関係を示した.<BR>【考察】AT以下の一定強度で運動を継続した場合,呼吸循環系の応答は一定の状態を示す.心拍数は運動に動員される筋量などに影響され,中等度強度までは迷走神経支配の解除により増加し,迷走神経の再活性化により減少するとされている.本研究における一定強度運動において,心拍数の回復時間はAT未満の運動強度(試行2・3)で短縮し,安静時・運動時の心拍数を用いて予測することが可能であった.このことから,AT以下の運動強度の場合において,心拍数の回復時間は対象者の安静時から運動時の変化,すなわち運動強度に応じた動筋の酸素需要動態を示していると考えられた.AT以下の運動強度での運動・運動処方を必要とする場合,心拍数回復時間を一つの指標として利用できる可能性が示唆された.なお,本研究は首都大学東京健康福祉学部研究安全倫理委員会の承認を得て実施した.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2006 (0), A0500-A0500, 2007

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541341312
  • NII論文ID
    130005013350
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.a0500.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ