転倒予防教室におけるPTの役割と今後の課題

DOI
  • murakami toru
    北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科
  • itou toshikazu
    北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科
  • kashiwagi manabu
    平和リハビリテーション病院 リハビリテーション科

Bibliographic Information

Other Title
  • ―道内80市町村へのアンケート調査より―

Abstract

【はじめに】<BR> 近年、転倒予防を目的とした介護予防事業が全国で展開されており、道内でも各地域で盛んに取り組まれている。最近では理学療法士(以下、PT)が各市町村からの委託を受けて介入するケースも見受けられる一方で、健康運動指導士をはじめ他職種が参加するケースも増えてきている。そこで、今回我々は道内で転倒予防事業を行っている132市町村へのアンケート調査行い、PTの役割と今後の課題について検討したので報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 平成16年2月、前年度において転倒予防事業を実施した道内の各市町村保健センター132施設の担当職員に対して、郵送方式によるアンケート調査を実施した。<BR>アンケート内容は、1.スタッフの構成について、2.教室での役割分担(身体機能検査、プログラム作成、運動指導)、3.PTの必要性とPTに対する要望。4.各市町村で抱える問題等とした。<BR>【結果と考察】<BR> 回収率は、60.6%(80/132地域)であった。<BR>1.スタッフの構成は、保健師が機軸となり実施している施設がほとんどで、保健師のみと保健師とPTという構成が最も多く、次いで保健師と健康運動指導士、保健師とPTと健康運動指導師、保健師と作業療法士の順であった。<BR>2.役割分担では、身体機能検査を担当しているのは保健師のみが最も多く、次いでPTのみ、保健師とPT、保健師と健康運動指導士の順であった。プログラム作成についてはPTが最も多く、次いで健康運動指導士、保健師の順であった。運動指導は健康運動指導士が最も多く、次いで保健師、PTの順であった。<BR>3.PTの必要性については、66%で必要との結果であった。作業療法士は49%であった。また、PTに期待する役割としては、身体機能検査から効果判定を含めた総合的な関与が求められていることが伺えた。<BR>4.PTの参加状況が委託による単発介入がほとんどであるため、参加者の機能評価や効果判定が不十分となり効果的な教室運営ができていない。虚弱な高齢者の参加と対応には不安があり消極的。教室終了後のフォローアップが困難。などであった。<BR> 今回のアンケート調査の結果から、各市町村ではマンパワー不足のため転倒予防教室での内容のほとんどを保健師が担当せざるを得ない状況であり、より効果的な転倒予防教室の運営を展開するためには、PTの単発ではなく、できるだけ頻回でかつトータルな介入を期待していることが明らかとなった。また、近隣地域にPTが不在なため、相談したくてもできない等の声も聞かれる。今後は健康運動指導士やその他の職種スタッフが参入してくることも踏まえつつ、地域予防事業でPTの専門性を発揮させるためにも、例えば介護予防事業への人材派遣体制の構築や関係職種間での勉強会開催など、PT士会でのバックアップ体制構築の検討も必要であると考える。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541647232
  • NII Article ID
    130005012960
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.e0155.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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