痙直型四肢麻痺児の入園治療による粗大運動機能変化
書誌事項
- タイトル別名
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- ―GMFM-66を用いた評価―
説明
【目的】我々は2001年度より入園した脳性麻痺児の粗大運動能力の変化を客観的に評価するため、Gross Motor function Measure(以下GMFM-88)を用いている。今回、順序尺度であるGMFM-88をラッシュ分析により間隔尺度化したGMFM-66を用いて痙直型四肢麻痺児の入園における粗大運動機能変化の傾向について報告する。<BR> 【対象】2001年度から2003年度に入園した痙直型四肢麻痺児27名。初回測定時平均年齢8.6歳、平均測定間隔10.7ヶ月。内訳はGross Motor Functional Classification System(以下GMFCS)レベル4が16名(幼児7名、学童児9名:手術児6名)。GMFCSレベル5が11名(幼児3名、学童児8名:手術児11名)。<BR> 【方法】入園時と退園時に担当PTがGMFM-88測定を実施した。コンピューターソフト(Gross Motor ability estimator)を用い、GMFM-66得点を算出した。入園期間中の各個人の粗大運動能力変化は入園時と退園時のGMFM-66得点の95%信頼区間を比較し、有意差を判定した。<BR> 【結果】GMFCSレベル4の幼児7名全員でGMFM-66得点が向上し、4名(1名筋解離術実施)で統計上の有意差を示した。学童児7名でGMFM-66得点が向上し、2名で低下した。GMFM-66得点が低下した2名は大腿骨頚部内反骨切術(以下骨切術)を受けていた。幼児の内、入園時のGMFM-66得点が20点台の2名は座位領域の項目に向上が見られた。幼児でもGMFM-66得点が30点及び40点台の5名は座位、四つ這い、立位、歩行の4領域の項目で向上が見られた。GMFM-66得点の向上を示した学童児7名の内、入園時のGMFM-66得点が20点台及び30点台の3名では、1名を除き、座位領域の項目のみに向上が見られた。入園時のGMFM-66得点が40点台の学童児6名では座位、四つ這い、立位、歩行領域の項目に向上が見られた。<BR> GMFCSレベル5の幼児では筋解離術を受けた2名のGMFM-66得点が向上し、骨切術を受けた1名で低下した。学童児では5名が筋解離術を受けており、GMFM-66得点は向上あるいは変化無しであった。学童児で骨切術を受けた3名のGMFM-66得点は2名で向上し、1名で低下した。GMFCSレベル5の11名はGMFM-66得点の変化に有意差は無く、臥位、座位領域の項目に変化が見られた。<BR> 【考察】GMFCSレベル4の幼児の粗大運動機能が最も向上していたことより、GMFCSレベル4の幼児期の入園治療は有効であると考えられる。また、GMFCSレベル4の子供をGMFM-66により細分化すると変化する領域に傾向が見られた。このことより、GMFM-66の評価が入園治療計画の参考となることが示唆された。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2004 (0), B0889-B0889, 2005
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680541658752
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- NII論文ID
- 130005012492
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可