腰椎前弯、腸骨傾斜、仙骨傾斜の関係について

DOI
  • SUZUKI SADAOKI
    昭和大学藤が丘リハビリテーション病院　リハビリテーション部
  • OHNO NORIO
    昭和大学藤が丘リハビリテーション病院　リハビリテーション部
  • TSUTSUI HIROAKI
    昭和大学藤が丘リハビリテーション病院　整形外科
  • ISHIDA KATSUYA
    昭和大学藤が丘リハビリテーション病院　放射線室

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Other Title
  • ―静止立位腰椎側面撮影像からの検討―

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【目的】腰椎の動きと骨盤傾斜、並進が協調しないと腰部にメカニカルストレスが集中し腰痛が発生すると我々は考え、腰椎の動きと骨盤傾斜、並進を個別に評価し運動療法を行っている。腰椎の動きの改善は伸筋群、大腰筋機能向上と固有の腰椎前弯獲得が基盤であると考えている。体表から評価した骨盤傾斜は必ずしも症例固有の腰椎前弯を反映するとは言えない。むしろ仙骨弯曲などが腰椎前弯の個体差を反映する印象がある。そのため腸骨と仙骨を区別し前弯との関連を評価することが必要であると感じている。我々はこれまでに腰椎前弯に関し上位腰椎と下位腰椎が個別に機能することを報告したが、腰椎前弯と仙骨、腸骨傾斜に関する報告は少ない。今回、X線写真を計測し検討を行ったので報告する。<BR>【方法】対象はメディカルチェックを目的に当院整形外科を受診しX線検査を受けた男性22名(平均28．77歳)、女性24名(平均26歳)で、計測には静止立位腰椎側面撮影像を用いた。姿勢は視線を前方に置き直立を保つこと以外、定めなかった。カセッテは床と水平に設置した。4角を計測した、1)前弯角　L1上縁とS1上縁の成す角（高値は腰椎前弯増大を示す）　2)仙骨角　仙骨上縁が任意の水平線と成す角（高値は仙骨上縁が水平より前傾していることを示す）　3)Pelvic Angle（Jacksonの方法に準ずる。以下、PA）両側大腿骨頭中心を結ぶ中点（股関節軸）と仙骨上縁後端を通る直線が任意の鉛直線と成す角（高値は仙骨が股関節軸より後傾していることを示す）　4)腸骨角　上前腸骨棘と上後腸骨棘を通る直線が任意の水平線と成す角（高値は腸骨が水平より前傾していることを示す）。得られた値より以下の検討を行った。1)前弯角と他の3角との相関関係　2)仙骨角、PA、腸骨角の3角間の相関関係である。分析には1％の危険率でピアソン相関分析を用いた。<BR>【結果】1)仙骨角と前弯角に相関を認めた(r=0.89)。PA、腸骨角と前弯角は相関関係になかった。2)PAと腸骨角に負の相関を認めた(r=-0.67)。3)仙骨上縁が前傾している程、腰椎前弯が大きいこと、仙骨、腸骨傾斜と仙骨上縁の傾斜は関連するとは言えないこと、仙骨・腸骨傾斜と腰椎前弯は関連するとは言えないこと、仙骨傾斜と腸骨傾斜は関連することがわかった。<BR>【考察】結果は腰椎前弯と骨盤の関連の考察には仙骨に対する評価が必要であることを示唆している。仙骨の弯曲が平坦な症例は腰椎前弯も平坦で、腰椎の動きが小さい、逆に仙骨弯曲が大きい症例は腰椎前弯が大きく、腰椎の動きも大きい印象がある。腰椎前弯と腰椎の動きには固有のものがあり、すべての症例が骨盤前傾が腰椎に対し同じ変化を及ぼすとは限らないと考えている。我々は形態及び機能的見地から、腰椎へのアプローチと骨盤に対するアプローチのどちらを優先すべきかを判断するためには、症例固有の前弯を把握することが必要であると考えている。

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