野球肘(内側型)の発生要因に関する検討
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- Miyashita Kouji
- Institute of Sports Medicine and Science
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- Kobayashi Hirokazu
- Institute of Sports Medicine and Science
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- Yokoe Kiyoshi
- Institute of Sports Medicine and Science
Description
【目的】野球肘は成長期にも多くみられ、骨の変形や可動域制限などの後遺症が残存してしまう。そのため、予防の重要性が指摘されており、その発生に関して、投球数、ポジション、運動器機能などの観点から調査・分析がされている。<BR> 野球肘の発生には、投球の加速期に肘関節に加わる外反ストレスが直接的な原因となり、そのストレスを回数、強度などにより増強されることで野球肘の発生に至ると考える。<BR> 今回、野球肘(内側型)の発生に関わる要因の分析を目的として、野球肘を有する選手の投球動作の分析と運動器機能の調査を試みたので報告する。<BR>【方法】高校野球部の所属選手44名を対象とした。対象を、過去に投球時の肘関節の内側部に痛みがない「健常群」17名、調査日に痛みはないが1ヶ月以内に痛みを生じた「野球肘群」27名に分類した。両群間で(1)~(3)について差の検定を行った(p<0.05)。(1)プロフィールとして、年齢、身長、体重、野球歴について問診聴取した。(2)運動器機能として、関節可動域と筋力を測定した。関節可動域は、肩関節外旋・内旋・水平伸展、肘関節屈曲・伸展、前腕回内・回外、手関節背屈・掌屈・尺屈・橈屈を測定した。筋力は、肩関節外転・外旋・内旋、肘関節屈曲・伸展、手関節背屈・掌屈・尺屈・橈屈について、MICROFET(日本メディックス)で得られた力と各肢長の積をトルクとして算出した。(3)投球動作は三次元分析により肩関節外旋角度を求め、加速期の長さ、加速期における肩関節内旋運動の角度変化量および角速度を算出した。<BR>【結果】(1)プロフィールは各項目に差はなかった。(2)関節可動域、筋力の各項目に差はなかった。(3)投球時の加速期の長さは健常群26.2±7.8msec、野球肘群12.4±8.1msecであり、野球肘群が短かった。加速期での肩関節内旋運動の角度変化量は健常群83.0±25.7度、野球肘群49.4±27.0度であり、野球肘群が少なかった。角速度は健常群3609.3±2047.5deg/sec、野球肘群5011.7±2849.5deg/secであり、野球肘群が速かった。<BR>【考察】肘関節への外反ストレスは主に加速期の肩関節内旋運動により誘発されるため、特に投球動作の問題は直接外反ストレスを強めることが推察される。今回確認された野球肘群の投球動作は、短い時間に、少ない角度で、急激な内旋運動を行う特徴があり、肘関節への外反ストレスが強い投球動作であると考えられる。<BR> 今回の結果では運動器機能の各項目単独での特徴は見られなかった。しかし、各運動器機能の問題が投球動作に影響し、野球肘群にみられた特徴的な投球動作を構築する要因となることが考えられる。各運動器機能と投球動作の関係について今後検討したい。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2004 (0), C0008-C0008, 2005
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680541961472
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- NII Article ID
- 130005012531
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed