セミリカンベント式自転車エルゴメーターによるペダリング動作の解析

Description

【はじめに】本研究は、セミリカンベント式自転車エルゴメータによるパワーテスト時のペダリング動作を三次元動作解析装置を用いて分析し、異なる回転速度におけるペダリング周期中の各下肢関節運動パターンについて検討した。<BR>【対象および方法】対象は健常成人男性10名(年齢:29.2±5.1歳、身長:171.2±4.9cm、体重:70.7±10.6kg)とした。方法は、Strength Ergo240(三菱社製)を用い、開始肢位は左側面にてクランクを垂直軸から時計回りに45°回転させた位置とし、回転速度60rpm、100rpmにて全力ペダリングを行った。被検者の両側の肩峰、大転子、外側膝裂隙、外果、踵、第5中足骨頭に直径2.5cmの測定用マーカーを貼り、三次元動作解析システムKinema Tracer (KISSEI COMTEC社製)を使用し、股、膝、足関節の解析を行った。また、運動時の下肢関節に対するクランクの位置を把握するためクランク回転中心とペダル中心にマーカーを貼付した。<BR>【検討項目】解析には全力ペダリング開始後の回転が安定した3回転分のデータを用いた。ペダリング動作の1周期を100%とし、伸展から屈曲に変化する地点と屈曲から伸展に変化する地点を算出(%)して運動パターンを検討した。運動の変化点は一元配置分散分析を用いて検定した。<BR>【結果】下肢関節を伸展させていく駆動相から屈曲させていく回復相へ切り替わる地点はペダル回転周期(%)において60rpmで股関節:39.5±1.8、膝関節:38.2±2.2、足関節:52.7±2.1、同順に100rpmで43.4±2.3、41.9±1.9、56.4±7.8、同様に回復相から駆動相への変換点は60rpmで97.0±2.4、88.7±1.9、4.7±1.5、100rpmで96.2±2.6、88.4±1.6、6.2±2.6であり、群間に有意差は認められなかった。<BR>【考察】今回の研究では、60rpmと100rpmにおける各関節運動の変換点に有意な差は生じなかったが、100rpmでは3関節とも60rpmに比べて運動の切り替えが遅れるという傾向があった。また、いずれの回転速度においても駆動相への切り替えと回復相への切り替えの地点からの可動は膝、股、足関節の順となっており、初動は膝関節から生じていた。従来、近位関節から遠位関節に運動が波及していくと考えられていたが、セミリカンベント式自転車エルゴメータでは膝関節がペダリング動作の機転となっていることが示唆された。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680542040448
  • NII Article ID
    130005012601
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.c0338.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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