股関節外旋位でのStraight Leg Raise exerciseが下肢筋活動に及ぼす影響

説明

【目的】Straight Leg Raise exercise (SLR ex)は膝の術後の患者や、膝の損傷を有する患者の大腿四頭筋筋力強化法として広く用いられている。臨床の場面で、患者が股関節外旋位でSLR exを行っていることをよく見かける。SLR exを行っているとき挙上下肢を股関節内外線旋中間位に保持しようと意識していないと自然に股関節外旋位をとる。我々は、今回、SLR ex実施時における挙上下肢股関節外旋角度と大腿四頭筋筋活動の関係について検討した。<BR>【方法】被験者は健常成人男性16名とした。被験者は年齢20.9±1.6歳、身長170.9±3.3cm、体重62.9±1.6kgであった。被験者は挙上下肢股関節外旋0°、20°、40°でSLR exを行った。その際、被験者の内側広筋斜頭(VMO)、内側広筋長頭(MVL)、大腿直筋(RF)、外側広筋(VL)、縫工筋(Sa)、薄筋(Gr)、長内転筋(AL)から表面筋電計ニコレー・バイキングIV(Nicolet)を用い、筋電位を導出し積分筋電図(IEMG:integrated EMG)を得た。計測は3回行われ、その平均をデータとした。各筋の股関節外旋0°時におけるIEMGを基に、股関節外旋20°、40°時のIEMGを正規化した(%IEMG)。<BR>【結果】股関節外旋20°での%IEMGは、VMO72.2±15.5%、VML80.5±10.2%、RF99.1±14.1%、VL67.6±20.6%、Sa94.0±13.8%、Gr95.4±27.3%、AL88.2±12.2%であった。股関節外旋40°での%IEMGは、VMO58.3±19.8%、VML72.0±9.8%、RF100.0±20.9%、VL52.7±17.2%、Sa92.5±18.1%、Gr87.2±27.0%、AL93.0±46.1%であった。<BR>【考察】膝伸展の単関節筋であるVMO、VML、VLの筋活動は外旋角度が拡大するにつれて低下しているが、二関節筋であるRFでは変化がなかった。また、Sa、Gr、ALのでは、股関節外旋角度の違いによる、著明な変化は見られなかった。SLR exを行う際、股関節外旋角度の増加に伴い、膝関節伸展に関わる単関節筋の筋活動が著しく低下することが示された。特に、外旋40°ではMVOで約40%、VLで約50%の低下が見られた。これは股関節が外旋するにつれ、側副靱帯の緊張や、膝屈曲モーメントの低下によるものと考えられる。RFでは、股関節屈曲作用への参加のため、変化が少なかったものと考えられる。今回の結果から、大腿四頭筋筋力強化法としてSLR exを用いる場合、股関節を外旋させずに行うことの重要性が示された。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), A0244-A0244, 2004

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680542123008
  • NII論文ID
    130004577683
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.a0244.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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