医療専門職のADL認識について
説明
【はじめに】近年、診療報酬改正や回復期病棟の増加などにより、病棟でのADL訓練加算等、これまで以上に患者の日常生活活動向上が重視される傾向がみられ、医療専門職種の認識の共有や相互理解、協力が重要な課題の1つと考える。そこでADL関連知識に付いてアンケート調査を行ったので以下に報告する。<BR>【対象】当院看護師(以下Ns)47名、経験年数平均21.12±11.52年。看護助手43名、経験年数平均5.14±4.40年。4病院の理学療法士(以下PT)・作業療法士(以下OT)22名、経験年数平均4.09±3.27年。<BR>【方法】項目1.ADLという言葉の意味に関するもの。項目2.ADLの内容に関するもの。項目3.ADLの動作に関するもの。項目4.できるADLとしているADLという言葉に関するもの。項目5.病院内でのADLと在宅でのADLに関するもの。項目6.ADL向上に携わる職種の重要度に関するもの。以上の項目に対して回答方法を無記名記入とし、アンケート調査を行った。<BR>【結果】アンケート有効回収率は74.21%であった。項目1・2・3・6では職種間においての差は無かった。しかし、項目4の質問1「できるADLとしているADLを聞いたことが有りますか」ではNs47名:「はい」22名(46.81%)・「いいえ」25名53.19%、看護助手43名:「はい」15名(34.88%)・「いいえ」28名(65.12%)であった。質問2「できるADLとしているADLとの違いを考えたことが有りますか」では、質問1で「はい」と答えたNs 22名中:「はい」12名(54.55%)・「いいえ」10名(45.45%)、「はい」と答えた看護助手15名中:「はい」12名(80.00%)・「いいえ」3名(20.00%)であった。項目5の「病院内でのADLと在宅でのADLとの違いを考えたことが有りますか」では、Ns 47名:「はい」40名(85.11%)・「いいえ」7名(14.89%)、看護助手43名:「はい」26名(60.47%)・「いいえ」17名(39.53%)であった。同様の質問をPT・OTに行ったところ全ての質問に対して「はい」22名(100%)であった。<BR>【考察】Nsと看護助手のADLへの認識はPT・OTと共通なものであったが、PT・OTによりカンファレンスや報告書などで「できるADLとしているADL」を表記する機会が多いにも係わらず約半数のNsと看護助手にそのことの認識が低いことが分かった。ただし、看護助手では項目4の質問1にて「はい」と答えた34.88%の内、項目4の質問2では「はい」と答えた値は80.00%の高い値を示した。一部の看護助手はNsよりも病棟ADLに接することが多く、「できるADLとしているADL」に対して深い認識を持っているのではないかと考える。しかし、全体的な認識が低いことは明らかであった。今後、PT・OTにより現状以上のしているADLへの積極的関与が必要であると思われる。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2003 (0), E0305-E0305, 2004
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680542195072
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- NII論文ID
- 130004578465
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可