異なる立位位置での片足立ち保持における足底各部の機能的役割
抄録
【目的】片足立ちでの日常生活動作を円滑に遂行するには、状況に応じて片足立ちを安定させる必要がある.足底接地面は体重の支持に加え、平衡維持の機能を持つ.足部の分節構造からして、立位位置によって足底各部の荷重分布が異なり、これに対応して、足底各部の機能的役割も異なると考えられる.本研究は、前後方向において異なる位置で片足立ちを保持した時の足底圧、および筋活動の違いから、足底各部の機能的役割を検討した.<BR>【方法】ヘルシンキ宣言に基づき研究内容を説明し同意を得た健常成人15名(男性12名、女性3名、年齢23.2±4.0歳)が実験に参加した.被験者は、床反力計(WAMI)上に設置した足底圧検出板(RSscan International)上で片足立ち保持をした.片足立ちの支持脚は任意とし、前方1.5mの視標(直径5cm)を注視させた.この片足立ちは、足関節を軸として身体を前後に傾斜させて足底圧中心の前後位置が踵から足長の30%、45%、60%、70%となる位置(以下30%FL、45%FL、60%FL、70%FL)で、約12秒ずつ、5回保持させた.分析は同期信号の入力から10秒間とした.足底面を6領域に分けて分析し、各領域の荷重の割合(%)と変動係数、各領域間の足圧変動の相関係数を算出した.また、支持脚下腿及び足部の筋から導出した筋電図を整流平滑化し、領域毎の足底圧と下肢筋活動の変化との相互相関分析を行った.有意水準は5%未満とした.<BR>【結果】各領域間の足底圧の変動の関係は、30%FLと45%FL、および60%FLと70%FLで、それぞれ類似していた.30%FLと45%FLでは、踵部は荷重の割合が高く、足底圧の変動は非常に小さかった.前足部の足底圧の変動は比較的高く、その中でも内側が外側に比べて高かった.踵部を含めた足底の外側部の圧変動と、前足部の内側部のそれとの間には負の相関が認められた.また、前足部内側部の圧変動と、長腓骨筋または母指外転筋の筋活動との間に高い相関が認められた.60%FLと70%FLでは、前足部での荷重の割合が高く、足底圧の変動は30% FLと45%FLに比べ小さかった.前足部の中でも第1-2中足骨頭部の足底圧の変動は他の領域に比べて僅かに高かった.前足部の外側部の圧変動と、内側部のそれとの間には負の相関が認められた.また、前足部内側部の圧変動は、長腓骨筋の筋活動との間に相関を示したが、母指内転筋のそれとの間には相関を示さなかった.<BR>【考察】30%FLと45%FLでは、踵部から足部外側にかけての部位が体重を主に支持する役割を果たし、前足部の内側での荷重により動揺の調節をしていることが考えられた.また、60%FLと70%FLでは、前足部全体で体重を主に支持しながら、前足部の内側と外側で荷重を交互に繰り返して動揺の調節をしていることが考えられた.
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2008 (0), A3P2023-A3P2023, 2009
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680542343296
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- NII論文ID
- 130004580050
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可