国際生活機能分類の視点による行政の理学療法士が関与する効果的な事業展開に関する研究

DOI
  • 小森 昌彦
    (社)日本理学療法士協会・地域保健総合推進事業研究
  • 長野 聖
    (社)日本理学療法士協会・地域保健総合推進事業研究
  • 田中 康之
    (社)日本理学療法士協会・地域保健総合推進事業研究
  • 逢坂 伸子
    (社)日本理学療法士協会・地域保健総合推進事業研究
  • 黒川 直樹
    (社)日本理学療法士協会・地域保健総合推進事業研究
  • 永原 久栄
    (社)日本理学療法士協会・地域保健総合推進事業研究
  • 日下 隆一
    (社)日本理学療法士協会・地域保健総合推進事業研究

書誌事項

タイトル別名
  • (財)日本公衆衛生協会・地域保健総合推進事業研究

抄録

【目的】<BR> 行政に勤務する理学療法士(以下PT)がどの様な視点を持って事業を計画・実施しているのかを国際生活機能分類チェックリスト(以下チェックリスト)を用いて分析し、日常業務で関与している生活機能の領域を明らかにし、その特性について報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 調査対象者は、市町村保健センター等に勤務する行政のPT115名である。<BR>方法はStuckiらにより開発されたICF core set(WHO:ICF調査部,2004)をもとにチェックリストを作成し、これを用いて郵送により実施した。<BR> PTには日常業務として関与している事業のうち生活機能の低下予防を目的とした事業を最大3つ抽出させ、チェックリストの項目から事業毎に、1)「関与がある項目」(関与あり)、2)「関与ありとした中で、特に重要と判断した項目」:(関与あり、かつ重要)、の2種類を選択させた。なお、「関与あり」の判断基準は,当該事業の中での参加者・対象者個人のみを対象とするのではなく、事業の全体を考慮に入れた上で、PT自身の判断により関わっている頻度や、「診ている」「評価している」などを基準に自己決定を求めた。<BR> 分析はチェックリストの各項目毎に「関与あり」および「関与あり、かつ重要」の割合を求め、これらの合計の割合からPTが持つ事業への取り組みの視点の特性を明らかにした。<BR>【結果】<BR> 調査の回答率は77名(67.0%)であった。提示された事業数は164(事業)であり、その主なうちわけは機能訓練事業(機能訓練事業、A型およびB型が36(22.0%)、介護予防転倒骨折予防が20(12.2%)であった。<BR> 「痛み」、「関節の可動性」、「筋力」などの心身機能に関する項目は、「関与あり」、「関与あり、かつ重要」共に高い割合を示した。「関与あり」および「関与あり、かつ重要」項目の合計を見ると、「関節の可動性」、「筋力」などの運動機能に関する項目は約90%、「歩行」約85%、「痛み」78.0%、「保健サービス・制度・政策」64.6%、「日常生活用具」59.1%、「コミュニケーション」59.8%であった。一方、「一般的なサービスの制度」「意志決定機関との関係」については、それぞれ37.2%、13.4%で関与が少なかった。<BR>【考察】<BR> PTは「痛み」「日常生活用具」について現場で対処し、保健サービス・制度・政策ならびにコミュニケーション能力を含めた、個別の生活課題をもつ対象者個々に関与していることが示唆された。しかし、行政的視点と考える「一般的なサービスの制度(買い物、ヘルスケア、交通などに援助を必要とする人のために行われるサービス、制度、政策)」「意志決定機関との関係」については関与が少なく、今後は市町村職員として、地域課題に対応し、事業マネージメント、政策マネージメントができる力量形成、視点形成が必要である事が明らかになった。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2006 (0), G1149-G1149, 2007

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680542366720
  • NII論文ID
    130005014618
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.g1149.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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