20ポイントBorg scaleによる主観的努力度と相対的筋張力の関係

Description

【目的】効果的な筋力増強運動を行う為には、負荷量の設定が重要である。負荷にはRepetition Maximumなどが参考にされることが多いが、機材の関係上・測定の困難性から一般臨床的に用いられることは少なく、未だセラピストの経験的・主観的な重錘負荷や徒手抵抗が用いられることが多い。そこで、循環器トレーニングなどで使用されているBorg scaleを用いて筋力増強運動における運動強度の設定を行えないかと考えた。先行研究では、10%刻みの相対的筋張力(以下、%MVC)発揮時のCR-10のスコアは、発揮張力と直線的関係性があることや、CR-10の比率的性質は相対筋力に対しても成立するとされている。そこで本研究では、20ポイントBorg scaleに呼応した自覚的な努力度と%MVCの関係性を追視調査することを目的とした。<BR>【方法】対象者は、健常成人11名(平均年齢24.1±2.5歳)であり、利き手、およびそれと同側の脚を対象肢とした。測定は握力と膝伸展筋力の2種類とし、握力の測定には握力計、膝伸展筋力の測定にはハンドヘルドダイナモメーターを使用し、測定環境が同一となるよう注意した。Borg scaleの「7非常に楽」「9かなり楽」「11やや楽」「13ややきつい」「15きつい」「17かなりきつい」「19非常にきつい」「20最高にきつい」をランダムに選択し、対象者に相当する努力度で筋力発揮を行わせ、測定値をそれぞれ記録した。また、各測定間での比較を困難とするため、2時間以上の時間を空け、その間は一般作業に従事した。各測定値は、20で得られた測定値で除し、%MVCとして解析した。<BR>【結果】それぞれの自覚的な努力度と%MVCは、握力では7:26.8±10.7、9:37.3±13.9、11:43.8±16.3、13:54.0±19.6、15:68.8±15.6、17:78.5±13.3、19:91.3±6.5となった。膝伸展筋力では、7:20.8±10.9、9:27.3±14.5、11:36.1±15.4、13:52.2±18.5、15:60.6±21.8、17:67.6±24.4、19:87.0±21.3となった。全体的な数値の変動は直線的な右肩上がりであったが、対象者間の値のばらつきは大きく、個人の測定値でも逆転が見られた。<BR>【考察】握力、膝伸展筋力ともに自覚的な努力度の増大に伴い、%MVCも増加する傾向があった。しかし、その変化は個人差が大きく、一様の変化は得られなかった。今回の研究では、測定に際してそれぞれの測定間での比較を困難とするために充分な時間を空けて測定を行ったため、自覚的努力度に影響を与える筋の疲労状態や精神状態が一様でなかったことが考えられる。しかし、臨床においては、それらのことは常である。これらのことから自覚的努力度による一定の負荷量の設定は困難と考えられた。<BR>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680542510080
  • NII Article ID
    130005014964
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.a1034.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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