リウマチ患者も登山ができる!
書誌事項
- タイトル別名
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- ―関節リウマチ患者のQOLに着目した試み―
抄録
【はじめに】<BR> 関節リウマチ(以下RA)の治療は抗リウマチ薬と共に生物学的製剤の普及により急速に進歩しており、また併せて関節変形・破壊に対し人工関節等の手術療法も積極的に施行されている.その中でリハビリテーションは早期からの患者教育と術後の機能・能力の再獲得等を担う重要な治療の一手段となっている.さらに当院ではそのリハビリテーションの中に『笑い』『楽しみ』をテーマとして独自の『リウマチのリハビリテーション教室』を7年間継続している.今回は最近の取り組みについて報告する.<BR>【これまでのRA教室】<BR> 当初はRAについて正しい理解を得ることを目的に従来から行われているような運動療法・関節保護・環境整備等の患者教育を中心に行った.第5回目よりRA患者のQOLに着目し、「RA患者もスポーツ・楽しいことをしよう」と教室内容を転向した.スポーツ大会・太極拳・ピラティス等RA患者に対しては禁忌とされることも安全に行える形で考案し、教室の中で紹介・実施してきた.参加者からは「できないとあきらめていたことができて感動した」等、毎回好評を博している.<BR>【今回の取り組み】<BR>テーマ:新緑の筑波山ハイキング<BR>背景:障害者が登ることができる日本百名山作ろう!(筑波山は頂上付近までロープウェイ・ケーブルカーが整備されており、障害者が最も登りやすい百名山の1つである.)<BR>方法:1.障害の程度に合わせて選択できるよう4コースを考案 2.コースが選定しやすいようフロチャートを作成し、自己判定 3.当院のRA科医師によるメディカルチェックを受け、コース決定.<BR>【安全な実施のための事前の取り組み】<BR>1)参加者に問診表を書いてもらい、状況をスタッフが事前に把握 2)ボランティアを含めて事前の打ち合わせ 3)参加者は誓約書に署名 4)参加者全員の山岳保険への加入 5)緊急時の対応をマニュアル化.<BR>【当日の参加状況】<BR>参加者:RA罹患者10名(車椅子での参加1名)、家族2名<BR>RA罹患者内訳:<年齢>27歳~72歳:平均57.3歳<罹患年数>11~41年:平均20.2年<手術既往>8/10名(TKA・THA・TAA・TSA・TEA等全部で24関節)<BR>運営スタッフ:43名(RA科医師、リハビリスタッフ、看護師、ボランティア等)<BR>行程:所要時間が異なるため班ごとにスタート.頂上で全参加者が集合.クイズ大会・記念撮影後、ロープウェイで全員下山.<BR>【参加者からの声】<BR>夢のようだった、自分にも出来ると自信になった.久しぶりの屋外で楽しかった.30年ぶりに登ることができ、生きる喜びを感じた.等<BR>【結語】<BR> 関節リウマチ患者に対して従来のように「できない」・「やってはいけない」といった指導・教育のみならず、専門知識を活用して「できることの開発・開拓」の重要性が示唆された.またこのような試みから見えてくる問題点を提起することで障害を有する方のQOLの向上につながると考えた.
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2008 (0), E3P3181-E3P3181, 2009
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680542543360
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- NII論文ID
- 130004581370
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可