虚弱高齢者を対象とした下肢自転車エルゴメーター運動の効果

  • 對馬 明
    名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科 中部大学技術医療専門学校理学療法学科
  • 髙石 鉄雄
    名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科
  • 宮本 靖義
    中部大学技術医療専門学校理学療法学科
  • 矢澤 浩成
    中部大学技術医療専門学校理学療法学科
  • 戸田 香
    中部大学技術医療専門学校理学療法学科
  • 飯田 文彦
    竹内整形外科リハビリテーション科
  • 天木 充
    竹内整形外科・内科クリニックリハビリテーション科
  • 早川 佳歩
    竹内整形外科・内科クリニックリハビリテーション科
  • 矢野 茂樹
    介護老人保健施設ゆうゆうの里リハビリテーション部

Description

【目的】本研究は、低負荷、短時間で増減するペダル回転速度に追従させる下肢自転車エルゴメーター運動が、虚弱高齢者の歩行運動機能に与える影響について調べることを目的とした.また、自転車エルゴメーター運動前後の歩行機能に関わる各種体力測定の結果から、歩行訓練の準備運動として下肢エルゴメーター運動の有効性について検討した. <BR>【方法】対象は要介護認定1~2程度の高齢者9名で、平均年齢74.9±7.6歳、男性7名、女性2名であった.被験者には研究意義、目的、方法、期間、研究における測定項目、運動内容に関わる危険性を説明し、研究への参加・協力に書面をもって承諾を得た.手順は、先ず対象全員の各種体力測定(全身反応時間、重心動揺、長座位体前屈、ファンクショナルリーチ、タイムドアップ&ゴー‹以下、TUG›、座位・立位下肢俊敏性)を実施した.次いで自転車ペダルの回転数を45rpm、55rpm、65rpm、55rpm、そして45rpmと1分間ずつ変化させてこがせる方法(以下、増減法)と50rpmでこがせる方法(以下、一定法)の二通りで自転車エルゴメーター運動を行わせた.自転車エルゴメーター運動後、再度各種体力測定を実施した.なお、各回転法による自転車運動は2日以上の間隔をあけて実施した.自転車エルゴメーター運動の負荷と時間の設定は、ウォーミングアップ効果を得るには不十分と考えられる20wattにて5分とした.統計学的検討は自転車エルゴメーター運動前と各法における自転車エルゴメーター後に実施した各種体力測定の差を求め、その差を対応のあるt検定を用いて有意水準は5%未満としておこなった.<BR>【結果】自転車エルゴメーター運動前と各法における自転車エルゴメーター運動後に実施した各種体力測定の差において、座位および立位下肢俊敏性(足の運びの回数)は有意な差を認め、増減法ではそれぞれ下肢俊敏性が平均1.9回と1.5回増加した.また、TUGにおいても有意な差を認め、増減法では所要時間が平均0.4秒短縮した.<BR>【考察】下肢の交互運動と反復運動刺激は神経筋を促通的に作用させ、脊髄内の中枢パターン生成機も賦活させると思われる.本研究結果から、自転車エルゴメーター運動による反復運動刺激に加え、増減法ではさらに運動課題が増すことにより、座位および立位の下肢俊敏性とTUGの向上が認められる結果となったと考えられた.<BR>【まとめ】虚弱高齢者に対し、45~65rpmの間でペダル回転数を変える方法およびペダル回転数を50rpmに固定した方法で、それぞれ20 watt、5分間自転車エルゴメーターを実施させた.増減法についてのみ運動後に座位および立位における下肢俊敏性測定項目とTUGに向上が認められたことから、 歩行訓練の準備運動として自転車エルゴメーターを実施する場合、ペダルを変化させる回転速度に追従をさせる運動形態は短時間、低負荷でも効果的であると考えられた.

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680542655744
  • NII Article ID
    130004579923
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p1072.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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