呼吸機能に影響を及ぼす側腹筋は何か?

  • 立松 典篤
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
  • 永井 宏達
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
  • 紙谷 司
    京都大学医学部人間健康科学科
  • 山田 実
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
  • 坪山 直生
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
  • 玉木 彰
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻

Bibliographic Information

Other Title
  • ―超音波画像による側腹筋筋厚を用いた検討―

Description

【目的】腹筋群は多様な機能を有しているが、その重要な機能の1つに呼吸機能がある.中でも外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋は重要な呼気筋であり、これら側腹筋が呼吸機能に及ぼす影響は大きい.先行研究では側腹筋が呼気時に活動し、活動のパターンやタイミングは各筋によって異なることが報告されている.このように、同じ側腹筋でもそれぞれに異なった役割や機能を有していると考えられるが、各側腹筋と呼吸機能との関係を検討した報告は見当たらない.そこで本研究では,超音波画像を用いて外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の筋厚を計測し、最大呼気口腔内圧(PEmax)、最大呼気流速(PEF)、最大咳嗽流速(PCF)との関係を検討することを目的とした.<BR>【方法】健常男子学生19名(平均年齢23.3±2.5歳)を対象とし、本研究の説明を行い、同意を得た.側腹筋筋厚は超音波診断装置(GE横河メディカルシステム製)を用い、背臥位にて右側の外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋を測定した.測定部位は、臍周囲上の腋窩線から2.5cm内側の部位とし、測定は、1)安静時呼気終末位(以下FRC)、2)最大呼気位(以下RV)、3)最大吸気位での最大呼気努力時(以下MEE)の3条件で行った.PEmaxの測定は、椅子座位にて行い、最大吸気位から最大呼気努力を行った際の口腔内圧を測定した.PEFとPCFの測定はピークフローメーター(Center Laboratories製)にフェイスマスクを接続して行った.統計解析にはFRC、RV、MEEでの側腹筋筋厚に対して、二元配置反復測定分散分析および多重比較を用いた.また、FRCでの各筋厚とPEmax、PEF、PCFとの関係をスピアマンの相関係数を用いて分析した.有意水準は5%未満とした.<BR>【結果および考察】二元配置分散分析の結果、筋厚において測定条件と側腹筋の主効果が見られ(p<0.01)、また、交互作用も認められた(p<0.01).FRCと比較してRVとMEEでは、内腹斜筋と腹横筋の筋厚に有意な増加が認められた(p<0.01).つまり、呼気時および呼気抵抗時には内腹斜筋と腹横筋が主要な役割を果たしていると考えられる.また、PEmaxはFRCでの外腹斜筋(r=0.58,p=0.014)、内腹斜筋(r=0.50,p=0.034)、腹横筋(r=0.45,p=0.049)の各筋厚と有意な相関を認め、PCFは腹横筋の筋厚のみと有意な相関が認められた(r=0.50,p=0.034).一方、PEFはどの筋厚とも有意な相関を認めなかった.一般に、腹横筋は腹圧と密接に関与していると言われている.本研究においても、PEmaxやPCF時の腹圧の上昇に腹横筋が強く関与したと考えられ、咳嗽などの呼吸機能における腹横筋の重要性が示唆された.<BR>【結語】本研究より、側腹筋の呼吸機能への関与は各筋で異なっており、中でも腹横筋が重要な役割を果たしていると考えられた.

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680542680832
  • NII Article ID
    130004579950
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p1099.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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