ノルディックハムストリングスエクササイズにおける下肢筋の筋活動
Description
【目的】スポーツ傷害の10-19%は急性発症であり、膝関節と足関節が最も多いとされる。また思春期での受傷が多く、女性の発生率は男性の4-6倍と報告されている。そのため効果的な予防プログラムが必要とされている。近年、ノルウェーにおける下肢傷害予防プログラムは1,837名の一流ハンドボール選手を対象に具体的な効果を挙げている。その予防プログラムの中でノルディック ハムストリングス エクササイズ (以下、NH)が重要視されているが、これはハムストリングスの伸張性筋力トレーニングであり、特別な設備を必要としない有用なトレーニング法であった。しかしこのトレーニング法において膝関節の角度と下肢筋の筋活動量については明確にされていない。本研究の目的は、NHにおいて膝関節の角度変化による筋活動特性を明確にすることである。<BR>【方法】対象は健常成人8名(年齢22.6±2.9歳、身長167.4±8.7cm、体重60.1±12.5kg)とした。また研究内容の説明を事前に行い同意を得た。筋電図の測定筋は右側の大腿直筋、半腱様筋、大腿二頭筋長頭、腓腹筋内側頭、腓腹筋外側頭、ヒラメ筋、前脛骨筋の7筋とした。表面筋電図を導出するため電極中心間距離20mmのプリアンプ内臓電極(直径8mm)を筋線維の走行に沿って貼付した。また電気角度計を膝関節に装着し筋電図と同期化した。TRIAS(DKH社製)を用い,筋電図を整流平滑化し二乗平均平方根(Root Mean Square)にてサンプリングデータの平均値(以下,RMSとする)を求めた.3秒間の最大等尺性収縮を100%として振幅を正規化し%RMSを算出した.NHとしては、膝立ち位にて足部を固定した後、股関節の角度を0度に維持したまま前方へ倒れこむことで、ハムストリングスの伸張性収縮を行わせた。足部の固定には専用ベルトを用い、その上から検者が把持した。膝関節は肩幅、足関節は底屈位とした。電気角度計を基準に、膝関節90゜-80゜、80゜-70゜、70゜-60゜、60゜-50゜、50゜-40゜、40゜-30゜の6相に分類し、安定したRMSをデータとして用いた。統計処理には反復測定一元配置分散分析及び、Fisher’sPLSDの多重比較を用いて、膝関節の角度変化の影響を分析した。<BR>【結果及び考察】大腿直筋を除く、全ての筋で膝関節の角度変化による影響を認めた。半腱様筋と大腿二頭筋長頭、およびヒラメ筋は、70゜-60゜で最も筋活動量が高く、半腱様筋と大腿二頭筋長頭は115-168%、ヒラメ筋は30%を示した。腓腹筋内側頭と腓腹筋外側頭、および前脛骨筋は、60゜-50゜で最も筋活動量が高く腓腹筋は50-65%、前脛骨筋は30%を示した。今回の結果、膝関節の角度変化で筋活動量も変化し、半膜様筋と大腿二頭筋長頭は、NHの初期から活動量が高く、下腿筋群は膝関節が屈曲50゜付近で活動性が高いことが示唆された。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2007 (0), A1289-A1289, 2008
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680542803456
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- NII Article ID
- 130005015040
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed