パーキンソン病患者の転帰に関わる因子

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  • ―UPDRSスコアより―

抄録

【目的】<BR> 当院、障害者施設等一般病棟は「パーキンソン病(以下:PD)を主体とする神経難病及び重度障害者の在宅療養を支援すること」を目的としている.今回、PD患者を対象に在宅療養を継続する為に必要なリハビリテーションでの関わりを調査するために、UPDRSスコアを用いて比較・検討を行なった.<BR><BR>【方法】<BR> 対象は2006年4月から2008年9月までに当院に入院したPD患者でYahr stage(以下:stage)3・4の131例(stage3:59例・stage4:72例、平均年齢:73.3±7.3歳)とし、在宅復帰群101例、施設・転院群30例との間で比較調査を行った.調査項目は1)退院時UPDRS1(精神機能、行動および気分)小計、2)退院時UPDRS2(on時の日常生活動作)小計、3)退院時UPDRS off2(off時の日常生活動作)小計、4)退院時UPDRS3(運動能力検査)小計、5)退院時UPDRS4(治療の合併症:Aジスキネジア・B症状の日内変動・Cその他の合併症)小計、6)退院時UPDRSトータルスコア、7)退院時UPDRS offトータルスコア、8)退院時移動能力である.解析はMann-WhitneyのU検定および分割表分析、Wilcoxonの符号付順位検定を用い、有意水準1%とした.なお、本研究は当院倫理委員会規定に基づき承認を受け行った.<BR><BR>【結果】<BR> 1)退院時UPDRS1小計、退院時UPDRS2小計、退院時UPDRS off2小計、退院時UPDRS3小計、退院時UPDRS4C小計、退院時UPDRSトータルスコア、退院時UPDRS offトータルスコア、退院時移動能力において在宅復帰群と施設・転院群との間に有意差が認められた.<BR> 2)UPDRS各項目の中の「知的機能障害」・「嚥下」・「食事」・「着衣」・「衛生」・「椅子からの立ち上がり」・「食思不振・吐気・嘔吐」の7つの小項目および退院時移動能力において、在宅復帰群と施設・転院群との間で特に有意な差が認められた.<BR> 3)結果2)の7つの小項目のうち、在宅復帰群は、入院期間において「食事」・「着衣」・「衛生」・「椅子からの立ち上がり」に有意な改善が認められた.施設・転院群においては、どの項目も有意な改善は認められなかった.<BR><BR>【考察】<BR> 在宅復帰群と施設・転院群間において、移動能力及び一部を除く各UPDRS小計が有意な差を示したことは、今後のリハビリテーションとしての関わりの指標になると考える.stage3・4のPD患者の在宅復帰における大きな要因として、今回のUPDRS評価からは特にADLに関する項目が挙げられた.このことから、リハビリテーションにおいてセルフケア・基本動作の積極的な関わりが重要と再認識できた.各群において知的機能障害の有意な改善はなかったものの、入院時から知的機能障害の有意な差が認められたことから、在宅復帰における大きな阻害因子であると考えられた.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), B3P2259-B3P2259, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680543054720
  • NII論文ID
    130004580454
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.b3p2259.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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