ハイヒール靴に対するインソールの有効性
書誌事項
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- 外反母趾予防の観点から
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抄録
【目的】ハイヒール靴は外反母趾の原因の1つとされ、広く知られている。この原因の一つとしては、ヒール高のために足部が前方へ滑り、足尖部が靴とぶつかり、母趾が外反することが挙げられる。そこで今回、ハイヒール靴に対し、足部が前方へ滑らないようにするインソールを作成し、その有効性として足底圧、アンケート調査により検討したので報告する。<BR>【方法】対象は外反母趾などの足部疾患の既往がなく、足趾の変形や疼痛がない女子大学生10名とした。対象にはインフォームドコンセントを行い、同意を得た。使用したインソールは一般に市販されているポリエステル素材で、厚さ5mmのものを使用した。踵部分を切り取り、足部の前方への滑りを減少させた。また切り取った3cm幅のインソールを中足部に重ねることで厚くした。次に足部の第1中足趾関節(以下、MP関節)部分に5mmのEVAシートを削りインソールに貼った。これは個々のMP関節部にフィットさせるため、両面テープを用いて自由に位置を変えられるようにした。使用したハイヒール靴は6.5cmのヒール高とした。この靴にインソールを挿入していない状態(以下、インソールなし)と挿入した状態(以下、インソールあり)で、対象にそれぞれ5秒間の片脚立位、10歩の歩行を行った。足底圧の測定は富士フィルム社製圧力測定フィルム富士プレスケールを2cm×2cmに切り取り、母趾球部と踵部に貼り付け測定した。圧力の判定は貼り付けたプレスケールに写し出される赤色痕をもとに行った。また測定終了後にa.つま先の疼痛、b.足の甲の圧迫、c.足の甲と靴の間の隙間、d.足の土踏まずの適合性、e.ヒールの安定感、f.母趾MP関節の圧迫感、といったアンケートを行った。統計学的処理は対応のあるt-検定にて2群間の比較を行った。有意水準を5%未満とした。<BR>【結果】片脚立位、10歩の歩行共に、母趾球部の足底圧はインソールありで有意(p<0.05)に低値を示し、踵部ではインソールありで有意(p<0.05)に高値を示した。アンケートの結果、インソールありでおおむね好評な結果であった。<BR>【考察・まとめ】今回の結果より、インソールを挿入することで踵部に圧がかかり、それに伴い母趾球部への足底圧が減少し、足部が前方へ滑り込まなくなったことが考えられる。よって、母趾に対する内転方向への外力が減少し、外反母趾を引き起こすような外力は軽減できたのではないかと考えている。またアンケート結果からは、MP関節部のEVAシートの厚さやインソールそのものの厚さ等について改良の余地があることが明らかとなったが、おおむね好評な結果を得ることができた。以上より、外反母趾予防という観点から、ハイヒール靴に対するインソール挿入は有効であることが示唆された。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), C1440-C1440, 2008
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680543231104
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- NII論文ID
- 110006800997
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可