若年成人にみられる浮き指の重心動揺に及ぼす影響について

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【目的】足趾の異常は,歩行や走行、立位を伴う上肢動作などに対して様々な運動障害をもたらす原因となる。足趾に関しては,足趾把持力測定や足趾把持力と重心動揺との関係,浮き指の実態などについての報告はみられるが,浮き指が重心動揺に及ぼす影響についての報告は少ない。今回,若年成人を対象に足型と片脚起立時における重心動揺を測定し,若年成人にみられる浮き指の重心動揺に及ぼす影響について検討した。<BR>【方法】対象は,大学生85名(男子49名,女子36名)平均年齢20.7±0.8歳,170足であった。足形計測には,株式会社アサヒコーポレーション社製Foot Grapher(Ver1.0)を用いた。得られた画像から足趾の接地状態を完全接地,部分浮き指,完全浮き指に分別し比較検討した。尚,完全浮き指,部分浮き指を浮き指有り群とした。重心動揺測定には,酒井医療株式会社製「アクティブバランサー・EAB-100」を用いた。被験者は裸足にて測定板上に立ち,視点は正面1.5m前方で直径3cmの円形の指標を注視させ,両足立位が安定した後,片脚立位姿勢をとり,15秒間重心動揺を測定した。測定は,左右交互に2回行い,その平均値を求めた。測定項目は,総軌跡長,外周面積,動揺平均中心変位X及びYとし,それらを浮き指有り群と浮き指無し群の二群に分けて比較検討した。また,各群における左右差についても検討を行った。<BR>【結果】右第一趾に浮き指を持つ者は8名(男子6名,女子2名),右第五趾に浮き指を持つ者は59名(男子30名,女子29名),左第一趾に浮き指を持つ者は12名(男子9名,女子3名),左第五趾に浮き指を持つ者は43名(男子20名,女子23名)であった。左右の浮き指の有無間での平均値比較において,全体では右第一趾浮き指の総軌跡長,左第一趾浮き指の総軌跡長,外周面積で有意差(p<0.05)が認められた。有意差が認められた項目では全て浮き指有り群における平均値が高かった。左右の平均値比較において,全体では第一趾,第五趾共に浮き指無し群の総軌跡長で有意差(p<0.05)が認められた。有意差が認められた項目では全て右足の平均値が高かった。<BR>【考察】第一趾の接地不良の傾向は男性より女性に多くみられるという報告があるが,本結果では第一趾浮き指を持つ者には男性が,第五趾に浮き指を持つ者には女性が多い傾向が示された。若年成人にみられる浮き指には,運動習慣,靴などさまざまな要因が関与しており,実態の複雑さが示唆された。第一趾に浮き指が存在すると重心動揺が大きいことが示された。第一趾における重心動揺抑制の重要性が示唆された。左右の平均値比較では,全体では有意差が認められた全ての項目で右足の平均値が高かった。第一趾に浮き指有り群は浮き指無し群と比べ重心動揺が大きく,さらにその傾向は右足の方が左足より大きいことが示された。浮き指の重心動揺への影響において足の左右差を考慮する必要があることが示唆された。

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