長座位体前屈に影響を及ぼす因子の解析

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  • 骨盤傾斜角変化量と長座位体前屈測定値との関連性に関する検討

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【はじめに】現在,文部科学省は,国民の体力・運動能力を調査する目的で「新体力テスト」を推奨している.そのテスト項目の中で,全身的な柔軟性を測定するテスト項目として長座位体前屈がある.長座位体前屈に影響を与える要因は多彩で賛否両論であるが,高齢者においては,特に二関節筋(以下,ハムストリングス)の伸張性の影響が大きく関与していることが多いかと考える.そこで,本研究では基礎的研究として健常男性を対象に,ハムストリングスの伸張性をみる1つの指標である骨盤傾斜角(以下,骨盤角)を用いて骨盤傾斜角変化量(以下,骨盤角変化量)を算出し,長座位体前屈測定値との関連性ついて検討したので以下に報告する.<BR>【方法】対象は,協力の同意を得た健常男性13名,平均年齢21歳(19~28歳)とした.方法は,骨盤角は傾斜角度計(シンワ測定社製,マルチレベルA-150)と金属板を使用し,両側の上後腸骨棘を結んだ線上にあてて測定した.また,長座位体前屈は長座位体前屈測定器(竹井機器工業社製,T.K.K.5112デジタル長座体前屈計)を使用し,「新体力テスト」を一部変更して測定した.なお,実施手順は長座位にて基本姿勢を設定した上で骨盤角(以下,静止時骨盤角)を3回測定し,その後,長座位体前屈の測定と同時に骨盤角(以下,前屈時骨盤角)を3回測定した.統計学的分析は,傾斜角度計による検者内信頼性について,同一検者間の級内相関係数(以下,ICC)を用いて検討した.また,各測定値の平均値±標準偏差を算出し,骨盤角変化量については,前屈時骨盤角と静止時骨盤角との差を算出した.そして,Spearmanの順位相関係数を用いて長座位体前屈測定値との相関性を検討した(p<0.01).<BR>【結果】静止時骨盤角ではICC(1・3)=0.98で,前屈時骨盤角ではICC(1・3)=0.99であり高い信頼性を示した.また,静止時骨盤角は67±5°,長座位体前屈は37.9±10.3cm,そして,前屈時骨盤角は92±13°であった.骨盤角変化量は25±10°であり,長座位体前屈測定値とは有意な相関性を示した(r=0.846).<BR>【考察】本研究の結果より,骨盤角変化量と長座位体前屈測定値とは有意に高い正の相関性を示した.中俣らは,長座位体前屈の測定における骨盤角測定は,ハムストリングスの柔軟性検査法として有用であると述べている.したがって,本研究では,独自の骨盤角測定方法であるものの,骨盤角変化量の程度がハムストリングスの伸張性にも反映している結果となり,ハムストリングスが長座位体前屈に影響を及ぼす1つの要因となることが推察された.今後の課題としては,本研究で用いた独自の骨盤角測定方法と他のハムストリングスの柔軟性検査法との関連性を検討し、独自の骨盤角測定方法の有用性を立証できればと考える.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680543349504
  • NII Article ID
    130005014784
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.a0451.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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