toe-inおよびtoe-out歩行の筋電図学的解析

  • 小栢 進也
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
  • 建内 宏重
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
  • 佐久間 香
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
  • 市橋 則明
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻

Description

【目的】整形外科術後や脳卒中片麻痺患者の患者では、toe-inやtoe-outで歩行することが多い。立位ではtoe-inにより中殿筋、toe-outにより大腿直筋の筋活動が増加すると言われているが、動作時の変化を検討したものは少ない。歩行中の筋活動量を調べることは、運動プログラムの設定、評価を行う上で重要と考えられる。本研究の目的は、toe-in・toe-outによる歩行時の筋活動量変化を明らかにすることである。<BR>【方法】対象は本研究に同意した健常成人13名(男7名、女6名)とした。平均年齢23.5歳、身長165.8cm、体重60.1kgであった。筋電図は表面筋電図計(Noraxon社製)を使用し、中殿筋、大臀筋、大腿直筋、内側広筋、長内転筋、腓腹筋、ヒラメ筋を測定した。下肢をtoe-in(30°内旋位)、neutral(内外旋中間位)、toe-out(30°外旋位)と変化させて歩行した際の筋活動量を計測した。歩行率はメトロノームで110歩/分に規定した。体幹は垂直位で前方を向き、膝と足部が同方向になるよう指示した。またフットスイッチを踵、第一中足骨、第五中足骨に取り付けて立脚時間を計測した。測定値は立脚期5歩行分の平均値を採用し、各筋の最大等尺性収縮時の値を100%として正規化した%RMS(Root Mean Square)で表した。筋活動量は立脚期全体の平均値および立脚期を10%ごとに分割した区間の活動量を算出した。なお統計学的分析として、立脚期全体および区間別の筋活動量に対して一元配置反復測定分散分析および多重比較を用いた。<BR>【結果と考察】立脚期全体の筋活動量にてneutralより有意に高い値を認めた筋は、toe-inで長内転筋(toe-in 6.7%、neutral 4.7%、toe-out 4.6%)、toe-outで大腿直筋(toe-in 4.0%、neutral 4.0%、toe-out 6.7%)であった。立脚期の区間別で比較すると、立脚初期にtoe-inで腓腹筋(toe-in 10.3%、neutral 6.5%、toe-out 6.8%)、ヒラメ筋(toe-in 21.2%、neutral 12.4%、toe-out 12.8%)がneutralに対して有意に高い活動を示した。立脚中期ではneutralに対してtoe-in、toe-outともに中殿筋(toe-in 13.5%、neutral 5.9%、toe-out 19.1%)、toe-outで大腿直筋(toe-in 2.2%、neutral 2.4%、toe-out 5.6%)がそれぞれ有意に高い値を示した。さらに立脚後期はneutralに対してtoe-inで長内転筋(toe-in 16.1%、neutral 12.1%、toe-out 9.4%)が有意に高い活動を示した。toe-in歩行で高い活動示した筋の役割としては、立脚期初期の下腿三頭筋は衝撃吸収、中期の中殿筋は姿勢保持、後期の内転筋は推進力にそれぞれ働いたと推測される。一方、toe-outでは立脚中期に中殿筋と大腿直筋の筋活動が増加するが、衝撃吸収、推進力に関わる立脚初期と後期にはneutralと同等の筋活動であることが示された。

Journal

Keywords

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680543389824
  • NII Article ID
    130005014775
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.a0442.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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