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肩甲帯屈曲・伸展の骨盤前後傾による影響
Description
【目的】肩の運動を構成する要素の中で肩甲骨の動きは重要である。肩甲骨は胸郭上に浮遊している特徴をもつため、胸郭の柔軟性・頭位・脊柱の可動性さらに骨盤・下肢からの影響も無視できない。また臨床において肩甲胸郭関節の機能不全が肩関節に病態を引き起こしていると思われる症例はよくみかけるが、肩甲胸郭関節の機能不全に対して胸郭の柔軟性や脊柱の可動性、骨盤の動きを促すアプローチをすることにより機能不全が改善することを多く経験する。肩甲胸郭関節は骨盤を含めた体幹が土台となることはよく知られているが、それらに関連した骨盤運動と肩甲帯屈曲・伸展についての報告は少ない。今回は骨盤の前後傾による肢位変化が肩甲帯屈曲・伸展にどのように影響するのか調査、検討したので報告する。<BR><BR>【方法】対象は肩関節に既往のない20歳から30歳代の男女10名19肩(男性7名、女性3名、平均年齢27.2±3.5歳)とした。骨盤前傾位と後傾位のそれぞれで肩甲帯屈曲・伸展を左右3回ずつ日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会が制定する関節可動域検査法(以下、従来の方法)で測定した。従来の方法は我々が第44回本学術大会において報告し、評価の信頼性を得ることができている。統計処理は、対応のあるt検定を用いて、骨盤前傾位での肩甲帯屈曲・伸展と骨盤後傾位での肩甲帯屈曲・伸展をそれぞれ検討し、有意水準を5%未満とした。<BR><BR>【説明と同意】対象者に対して十分な説明のうえ同意を得て行った。<BR><BR>【結果】骨盤前傾位での肩甲帯可動域は右屈曲35.1±8.1度、右伸展19.3±5.7度、左屈曲32.3±7.1度、左伸展22.3±3.4度であった。骨盤後傾位での肩甲帯可動域は右屈曲31.0±7.5度、右伸展13.8±6.1度、左屈曲26.8±7.8度、左伸展15.1±7.8度であった。骨盤前後傾位での肩甲帯屈曲・伸展の可動域はともに有意差が認められた。骨盤前傾位の方が後傾位と比較すると肩甲帯屈曲・伸展ともに有意に可動域が大きい値を示す結果となった(p<0.05)。<BR><BR>【考察】骨盤の前傾位と後傾位では脊柱の肢位や上半身質量中心点の位置が変化する。骨盤後傾位では胸腰椎は後弯し、前胸部の伸張性が制限されるため、肩甲骨の内転が制限される。その結果、肩甲帯伸展が減少することが改めて確認することができた。また肩甲帯屈曲の測定では骨盤後傾位にすることにより肩甲骨がすでに外転位にあり、肩甲帯屈曲が制限された。骨盤前後傾により上半身質量中心点の位置が変化し肩甲骨のアライメント変化がみられた。結果の中には骨盤後傾位のほうが肩甲帯の可動域が拡大する例もあった。必ずしも骨盤前傾位で肩甲帯の可動域が拡大するとも限らず、臨床においてはそれぞれの症例によって対応しなければならないが、骨盤・脊柱の肢位変化が肩甲骨を含めた肩甲帯に影響すると改めて認識することができた。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】肩関節疾患に対する評価では、狭義の肩関節だけでなく、肩甲骨を含めた肩甲帯や脊柱の可動性、骨盤の前後傾といった運動連鎖を視野に入れて理学療法を行うことの科学的な根拠を示すことができた。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2009 (0), A4P1056-A4P1056, 2010
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680543649792
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- NII Article ID
- 130004581804
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed