6分間歩行試験による2分間経過時の歩行距離と6分間歩行距離の関連
Description
【目的】呼吸器疾患症例における運動耐容能力の有無は重要なポイントで、とりわけ日常生活に関連している評価として、6分間歩行試験(以下6MWTとする)が使用される.しかしながら、その施行方法において評価時間が長いという点で、高齢者においてモチベーションの維持や施設内マンパワーの不足などにより施行困難となる要因の1つとして挙げられる.今回、6分間歩行試験による2分間経過時の歩行距離と6分間歩行距離の関連を探ることで、評価時間の短縮が可能であるかを検討した.<BR><BR>【方法】測定結果の使用に同意をいただいた改訂呼吸リハビリテーション評価表(MRE)評価参加症例52症例(100件:平均年齢72.3±7.7歳)を対象とした.無作為にA群とB群の2群にふりわけ、評価対象項目として、6分間歩行試験における歩行距離(6MWTD)、6分間歩行試験時における2分間経過時の歩行距離(2MWTD)の2項目とし、各々の群で相関の有無を確認し回帰直線を導き出した.それを用いて予測値を求める予測式とした.そしてA群の2MWTDをB群で求めた予測式に、B群の2MWTD をA群で求めた予測式に代入し予測値を求め、実測値と比較し有意な差がみられるか確認した.統計的手法として相関はピアソンの相関係数を使用し、予測値と実測値の比較にt検定を施行した.いずれも有意水準をp<0.05とした.<BR><BR>【結果】2MWTDと6MWTDとの間でA群ではr=0.805、B群ではr=0.950と強い相関がみられた.A群ではy=2.37x+32.7、B群ではy=2.81x-23.0の回帰直線が得られた.これらを予測式として用いて、他群の2MWTDの結果を用いて導き出した予測値と実測値を検討した結果、いずれも有意な差はみられなかった.<BR><BR>【考察】佐竹らによると6MWTにおいて、酸素摂取量が運動開始後2分まで急激に増加しその後4分間高い値を維持していることから日常生活活動における維持能力を反映することができるものと考えられると報告している.<BR> よって、2分以降に症例による差が生じるため、その結果にばらつきがあるのでないかと推測したが、今回の研究結果において、2MWTDと6MWTDの間に高い相関を示した.このことから2MWTDの結果から予測式を用いることにより、有効性のある運動耐容能評価として使用できる可能性が示唆された.しかしながら、計算式を設定するにあたっては今回は6分間歩行試験による2分間経過時の歩行距離を用いたが2分間のみの歩行距離ではどうか、また疾患の特性の影響など更なる検討が必要であると考える.<BR> 今後2分間の歩行試験による評価可能となれば、患者および検者の負担の軽減という点において、臨床的意義があると考えられる.
Journal
-
- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
-
Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2008 (0), D3P2524-D3P2524, 2009
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
- Tweet
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680543653376
-
- NII Article ID
- 130004581123
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed