リーチ動作における手部速度に影響を及ぼす上肢各部位の機能
Bibliographic Information
- Other Title
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- ―神経‐筋骨格系の応答―
Abstract
【目的】リーチ動作は、日常生活動作の様々な場面でみられる基本動作のうちでも、使用頻度が最も高い動作である.また、リーチ動作は上肢におけるリハビリテーションの評価項目として有効な手段であり、動作特性からその制御機構まで多くの検討がされている.また,最終効果器である手部もしくは手指に対する上肢各部位の貢献度に着目した研究は少なく、リーチ動作における手部速度生成に関する機序は明らかにされていない.本研究の目的は、リーチ動作における手部速度に影響を及ぼす上肢各部位の貢献度を神経‐筋骨格系の応答に着目して明らかにすることである.<BR><BR>【方法】被験者は、身体に障害のない成人6名(以下正常群)と脳梗塞による片麻痺の既往歴を持つ1名(以下片麻痺患者)であった.課題動作は立位姿勢からのリーチ動作であり、前上方に設定した目標点に対し日常行っている方法で行うよう指示した.実験室内に設定した空間内において3枚のフォースプラットフォーム(AMTI社製、120Hz)およびテレメトリー筋・心電計MQ8と同期した3次元動作分析装置(Motion Analysis社製 Eagle Digital Real Time System、 120Hz)のカメラ6台で立位姿勢におけるリーチ動作を計測した.被験筋は、腕橈骨筋・上腕筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋・棘上筋・棘下筋・三角筋とした.リーチ動作における手部速度は、上肢各セグメントの角速度の和として表すことができ、近位セグメントが遠位セグメントに及ぼす貢献度を定量化することができる.そこで、得られた身体分析点の3次元座標を用いて各セグメントの角速度、関節点の速度および位置ベクトルを算出し、これらを用いて手部速度生成に対する各セグメントの機能および発生する筋活動に着目して検討した.また、本研究では実験に際して、被験者に不利益が生じないよう研究内容の理解と同意を得て、個人情報保護等を配慮しながら実施した.<BR><BR>【結果および考察】手部座標値を時間微分して得られた速度と各セグメントの角速度、関節点の速度および位置ベクトルを用いて得られた理論値はほぼ一致しており、本研究において使用したアルゴリズムは、近位セグメントが遠位セグメントに及ぼす貢献度を定量的に表すことが可能であった.正常群では、手部速度生成において、手部・前腕・上腕の順に貢献度が大きくなり、片麻痺患者では、その発生順序が異なっていた.また、COP変位および筋活動量においても、正常群と片麻痺患者ではその大きさが異なっていた.以上のことから、疾患の有無で、リーチ動作における手部速度生成のための上肢各部位の機能が異なり、その動作特性を明らかにすることにより神経‐筋骨格系システムの評価が可能であることが示唆された.
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2008 (0), A3P2161-A3P2161, 2009
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680543805184
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- NII Article ID
- 130004580185
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed