タオルギャザー実施時の足底への荷重が立位バランスに及ぼす影響

説明

【目的】私達は、これまで健常人にタオルギャザーを座位と立位で実施し、その前後の固有受容覚、静的立位バランスへの影響について検討してきた.その結果、座位・立位共にタオルギャザー実施後、固有受容覚の賦活が示唆された.しかしながらバランスの指標として用いた重心動揺計測での総軌跡長の減少が見られたのは立位のみであった.今回その要因が足底への荷重にあると考え、タオルギャザーを実施する際、荷重の違いが立位バランスに与える影響について検証した.<BR>【方法】対象は同意が得られた健常職員19名.介入は立位にてタオルギャザーを利き足で実施.その際、口頭指示にて足指伸展を意識させ、75回/分の速度で20秒間施行、1分間の休憩をはさみ3セット実施.介入姿位は Tilt table85度傾斜立位で、股関節、膝関節、足関節を0度に設定した(大腿部遠位1/3をベルトで固定).介入時の利き足への荷重は、極力荷重を促した群(以下;a群)と極力荷重を少なくするよう指示した群(以下;b群)に分類した.また、タオルギャザーの介入なしで利き足への荷重を極力少なくした群(以下;c群)をコントロール群とした.立位バランスの効果指標は、フォームラバー上での利き足の閉眼片脚立位保持時間とした.計測は、両手を腸骨稜に当てた立位姿勢で、非利き足の足底全てが離れた瞬間から一部が接するまでの時間とし、片脚立位を開始するタイミングは本人に委ねた.この方法で毎回介入前に5回計測、最初の2回は、ばらつきが大きくみられた為、3回目以後のデータの最大値を介入前測定値とし、介入後は3回計測した値の最大値を介入後測定値とした.また、測定は同一対象者に対して1日1群、2日以上の間隔を設け、計3日行った(その日にどの群を測定するかは、くじで決定).結果の分析は3群間の比較にFriedman検定を用い、2群間の比較や各群における介入前後の比較にWilcoxon検定を用いた.また危険率5%未満を有意水準とした.<BR>【結果】 介入前測定値は有意差を認めず、日間変動はみられなかったが、介入後では3群間に有意差を認めた(P<0.05).また、a群はb群に比べ有意に片脚立位保持時間が長く(P<0.05)、c群と比べても有意に片脚立位保持時間が長かった(P<0.01).介入前後での2群間の比較では、有意差が見られたのはa群のみであった(P<0.01).<BR>【考察】a群で有意に片脚立位保持時間が延びた事は、荷重を多くすることで足底からの荷重感覚が前庭系を賦活し、下肢伸筋群の抗重力伸展活動を活性化したものと推察する.また、その情報は小脳を介し脳幹網様体による抗重力的な姿勢制御機構を活性化させ、立位バランスの安定にも繋がったのではないかと考えた.以上より、タオルギャザーの介入では足底への荷重を多く促す事が、立位バランスの安定に、より有効であると考える.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), A3P3001-A3P3001, 2009

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680543824128
  • NII論文ID
    130004580195
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p3001.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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