中学生バドミントン選手における競技特性と障害特性
Search this article
Description
【目的】中学生バドミントン選手のメディカルチェックを平成9年より年1回,10年間継続実施している.成長期の身体的変化は著しく,また同一競技の継続で特有の障害をきたしやすいと考えられる.そこで今回,2年間継続してメディカルチェックを行った選手を対象に,身体的変化や競技特性および障害特性について検討したので報告する.<BR>【対象と方法】これまでの実施者数は49名,延べ人数は88名であり,中でも1,2年生が半数以上の78.2%を占めていた.検討対象は,この間にメディカルチェックを実施した選手49名(男子11名,女子38名)のうち,1,2年生の2年間継続実施した中学生24名(男子7名,女子17名)とした.実施時年齢は12~14歳,競技開始年齢は8.7±1.5歳であった.利き手は右利き20名(男子6名,女子14名),左利き4名(男子1名,女子3名)であった.メディカルチェックの内容は,整形外科医による診察,理学療法士による身長,体重,下肢周径などの形態測定,握力測定,関節弛緩性テスト,静的アライメント評価,筋柔軟性テスト,関節可動域計測を行った.各評価項目は,利き手側と非利き手側を1年時,2年時のそれぞれで比較し,さらに1年間の変化についても比較した.また,診察結果より膝関節疾患の有無で2群に分けて検討した.統計学的分析はt検定およびχ2検定を行い,5%未満を有意水準とした.<BR>【結果】1年時,2年時それぞれの利き手側と非利き手側の比較では,1,2年時とも利き手側の握力および大腿周径,非利き手側の下腿周径が有意に大きな値を示した.1年間の比較では,身長,体重,利き手側握力,両側下肢周径が有意に増加した.また,診察結果では障害を認めた者が24名中18名であった.障害部位は下肢障害が72.4%と最も多く,中でも膝関節疾患が47.6%を占めていた.膝関節疾患の有無による比較では,膝関節疾患を有した者は 2年時の両側Q-angleが有意に大きな値を示した.障害部位と利き手との関連では,膝関節は利き手側に70%,足部および下腿は非利き手側に66.7%の発生を認めた.なお,性別による差はみられなかった.<BR>【考察】成人を対象としたバドミントン競技の外傷・障害特性に関する報告の多くが上肢に障害,下肢に外傷の発生率が高いと述べている.今回,成長期である中学生を対象としたメディカルチェックでは下肢障害が高い割合を占めていた.障害部位として筋腱付着部の発生が多く,骨端症など成長期特有の疾患が確認された.また,利き手側下肢で踏み込み,対側下肢で蹴り出しや着地を行うバドミントン競技特有の動作が長期に繰り返され,形態的特長として両側の下肢周径差,障害として鷲足炎の発生を認めたと考えられる.成長期を対象としたメディカルチェックでは,成長期に起こりうる身体的変化と競技特性ならびに障害特性をふまえ,指導者との連携を図り,経年的に支援する必要性があると考えられる.<BR><BR>
Journal
-
- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
-
Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2006 (0), C0228-C0228, 2007
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
- Tweet
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680543849216
-
- NII Article ID
- 110006373967
-
- NII Book ID
- AN10146032
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed