パーキンソン病簡易評価スケールの信頼性評価

  • 元村 隆弘
    福岡県理学療法士専門領域研究推進部 神経系理学療法研究部会神経難病班
  • 中原 雅美
    福岡県理学療法士専門領域研究推進部 神経系理学療法研究部会神経難病班
  • 村山 龍一
    福岡県理学療法士専門領域研究推進部 神経系理学療法研究部会神経難病班
  • 日野 敏明
    福岡県理学療法士専門領域研究推進部 神経系理学療法研究部会神経難病班
  • 隈井 圭輔
    福岡県理学療法士専門領域研究推進部 神経系理学療法研究部会神経難病班
  • 木谷 慶太
    福岡県理学療法士専門領域研究推進部 神経系理学療法研究部会神経難病班

Search this article

Description

【はじめに】<BR>パーキンソン病(以下PD)の評価スケールの一つにUnified Parkinson's Disease Rating Scale(以下UPDRS)がある。UPDRSは世界的に広く用いられている評価スケールであり、その妥当性や信頼性が統計学的に証明されている。当研究班では、UPDRSを元にPD簡易評価スケール(以下簡易スケール)を開発した。また、その項目の妥当性や鋭敏度、使用感について検討し臨床上有効であることを示した。そこで今回は、簡易スケールの評価者間、および評価者内の信頼性について検討したので報告する。<BR>【対象】<BR>PD患者20名で、男性1名、女性19名、平均年齢は77.2±8.6歳、Modified Hoehn & Yahr stage4が5名、stage5が15名(平均4.75)であった。<BR>【方法】<BR>評価者間の信頼性を検討するために、PT3名で1評価グループ(リーダー1名)を構成し、同一の対象者に対して、同時に3名が簡易スケールでの評価を実施した。リーダーが評価を進めたが、同時に2名が問診・検査に加わることとした。触診などは3名それぞれが実施した。評価者ごとに別々の記録用紙に記録し、以降評価者が内容を確認することがないように評価グループ以外のスタッフが記録用紙を保存した。また、評価者内の信頼性を検討するために、同じ評価者が初回の評価から1~2週間後に2回目の評価を実施し、初回とは別の記録用紙に記録した。評価方法や記録用紙の取り扱いについては初回と同様とした。解析は、評価者間の信頼性には初回と2回目のそれぞれの項目についてCohenのκ係数を算出した。評価者内の信頼性には評価者ごとにそれぞれの項目についてκ係数を求め、その平均を算出した。なお、本研究は患者、家族に目的や意図を十分に説明し同意を得た上で実施した。<BR>【結果】<BR>評価者間の信頼性は0.53~1.00であった。歩行と日常生活動作における臨床症状の変動で完全な一致を示し、頚部と右下肢の固縮で0.53~0.76とやや低い値を示した。評価者内の信頼性は0.58~1.00であった。歩行と食事以外の日常生活動作における臨床症状の変動で完全な一致を示し、下肢の固縮で0.58とやや低い値を示した。<BR>【考察】<BR>簡易スケールの評価者間、および評価者内の信頼性について検討した。ほとんどの項目で信頼性指標の高い値を示したが、固縮においては信頼性指標の低い値を示した。κ係数については0.40≦κ≦0.75でfairly to good、0.75≦κでexcellentな一致と言われている。よって、今回の結果はfairly to good~excellentな一致という位置付けになる。これは、日本語版UPDRSを実用に耐える信頼性を持つと考えた折笠らの検証結果と類似したものであった。以上のことから、簡易スケールは臨床上信頼できる評価尺度であることが示唆された。

Journal

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top