急性心筋梗塞患者の入院期間並びに心臓リハビリテーション実施期間に影響を及ぼす因子の検討

説明

【目的】我々は、平成20年心臓リハビリテーション学会において、明らかな心不全症状を認めない急性心筋梗塞(以下AMIと略す)患者に対する目標達成型クリティカルパスを作成し、パス延長に影響を及ぼす因子の検討を報告した.今回、症例数を増やしてさらに検討したので報告する.<BR>【対象】当院において急性期治療を行ったAMI患者のうち、心肺運動負荷試験(以下CPXと略す)の施行が可能であった67症例(男性51名と女性16名)を対象とした.なお、重症心不全患者や整形外科的疾患を有する患者は除外した.研究の目的と内容については十分にインフォームドコンセントを行った.<BR>【方法】母集団67名を平均入院期間17日未満の短期群42例と入院期間17日以上の長期群25例の2群に分け、入院期間、入院からリハビリテーション(以下リハと略す)開始、CPX実施から退院までの期間、患者背景並びにCPXから得られるAT時の各指標を比較検討した.<BR>【結果】入院からリハ開始までの期間は短期群3.8±1.7日、長期群5.2±2.3日(P=0.012))、リハ開始からCPX実施までの期間は短期群6.6±1.3日、長期群8.4±2.6日(P=0.004)、CPX実施から退院までの期間は短期群4.7±2.0日、長期群8.7±4.8日(P=0.001)と、全てにおいて両群間に有意差を認めた.患者背景として年齢、身長、体重、BMI、冠危険因子保有数、Peak CK、左室駆出率、罹患枝数の全てで両群において有意差を認めなかった.CPXにおいてV-Slope法によって求めたAT時の各指標では、VO2/Wは短期群11.5±2.5ml/min/kg、長期群10.3±2.5ml/min/kg(P=0.047)、ガス交換比は短期群0.95±0.08、長期群0.88±0.10(P=0.004)、心拍数は短期群102.7±14.4beat/min、長期群94.2±12.2beat/min(P=0.039)において両群間に有意差を認めた.<BR>【考察】パス延長に影響を及ぼす因子として、両群における入院から退院までのリハ進行度、並びに、CPXから得られたAT時の各指標から長期群におけるデコンディショニングの影響が考えられた.しかし、その要因として考えられる患者背景の諸因子に関して、両群間において有意差を認めなかった.今回調査できなかったが、入院前の活動性低下や入院中の投薬調整なども関連しているものと考えられ、その影響がデコンディショニングとして現れてきたものと推察される.今回、心疾患の重症度以外の因子の関与が示唆されたが、今後は症例数を増やし、さらに詳細な検討が必要と思われる.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), D3P1495-D3P1495, 2009

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544128000
  • NII論文ID
    130004581041
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.d3p1495.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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