関節リウマチ患者の有痛性胼胝が外出困難感に及ぼす影響について

DOI
  • 齋藤 岳志
    東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターリハビリテーション科
  • 山際 清貴
    東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターリハビリテーション科
  • 安達 拓
    東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターリハビリテーション科
  • 古江 俊一
    東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターリハビリテーション科
  • 倉田 典和
    東京女子医科大学附属青山病院リハビリテーション室
  • 北目 茂
    東京女子医科大学病院リハビリテーション部
  • 猪飼 哲夫
    東京女子医科大学病院リハビリテーション部
  • 川村 孝一郎
    東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター整形外科

抄録

【背景】<BR> 関節リウマチ(以下RA)は原因不明の自己免疫疾患で,慢性関節炎が特徴である.臨床場面においても,関節炎由来の疼痛を伴うRA患者が多く,それは股関節や膝関節などの大関節のみならず,手指や足部などの小関節においても例外ではない.特に前足部においては,外反母趾や有痛性胼胝などによる疼痛が歩行障害や,外出困難感につながることがしばしば見受けられる.有痛性胼胝による歩行障害,またはインソールや整形靴の処方に関する先行研究は散見するものの,有痛性胼胝と外出困難感に関する報告は少ない.そこで,今回我々はRA患者の有痛性胼胝が外出困難感に及ぼす影響について調査し,若干の知見を得たので報告する.<BR><BR>【対象】<BR> 当センターリハビリテーション科にて,2008年9月から2008年10月に外来理学療法継続中で,本研究の趣旨に賛同し同意を得られたRA患者55名(男性5名・女性50名,平均年齢56.4±27.4歳,平均罹患年数14.6±16.4年).<BR><BR>【方法】<BR> 来院時に視診・触診にて胼胝の有無を確認し,同時に年齢・罹患年数・SteinbrockerのClass分類などの基本属性,胼胝痛の有無,胼胝痛による外出困難感の有無,胼胝痛への対処法などを含む質問紙を配布し回答を得た.<BR><BR>【結果】<BR> 回答を得た55名中,28名(51%)が胼胝を有しており,24名(44%)に胼胝痛を,胼胝痛による外出困難感を10名(18%)に認めた.罹患年数別の胼胝を有する割合は10年未満44%,10~20年57%,20年以上50%であり,胼胝痛を有する割合はそれぞれ33%,52%,44%であった.また,胼胝痛の対処法としては踵歩行17名,胼胝を削る12名,インソール10名,整形靴8名などの回答が多く得られた.<BR><BR>【考察】<BR> 今回の調査では,18%が何らかの対策を講じながらも有痛性胼胝によって外出困難感を有していることが明らかになった.RAは全身性の疾患であるため様々な要因が外出困難感に関与するが,胼胝痛に限局しても18%に外出困難感を認めたことは見過ごせない問題であり,何らかの方策をとる必要性が示唆された.また,罹患年数別での胼胝や胼胝痛の有無に差はなく,場合によっては早期から胼胝が形成され,疼痛が出現する可能性があるため,早期介入の必要性も示された.<BR> RA治療の4本柱は基礎療法・薬物療法・手術療法・リハビリテーションであり,リハビリテーションの果たすべき役割は大きい.今回の調査で明らかになったように,大関節の問題のみならず胼胝に対しても注目し介入する必要がある.有痛性胼胝に対する介入は,これに起因する二次的な変形や疼痛,それらに伴う歩行障害を改善させ,外出困難感を軽減させることとなりQOLの維持もしくは向上につながるものと考える.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), C3P3463-C3P3463, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544225920
  • NII論文ID
    130004580999
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.c3p3463.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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