書誌事項
- タイトル別名
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- 足関節外側靱帯損傷者における足部内転運動の関節位置覚
- ソクカンセツ ガイソク ジンタイ ソンショウシャ ニ オケル ソクブ ナイテン ウンドウ ノ カンセツ イチカク
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説明
【目的】足関節外側靭帯損傷はスポーツ活動のなかで頻繁に起こる外傷の1つであり,再発がその大きな問題点である.再発の要因の1つには関節の機能的不安定性(Functional Ankle Instability:FAI)の残存があげられ,その評価が重要である.筆者らはFAIの評価指標として関節位置覚(Joint Position Sense:JPS)に着目し,15名の足関節外側靭帯損傷者における足部内転運動のJPS測定を行った結果,15°以上の目標角度では足関節外側靭帯損傷者のJPSが低下していることを報告した(2008).本研究の目的は足関節外側靭帯損傷者のJPS低下を検出する有効な角度を明らかにすることとした.<BR>【対象と方法】対象は当院で陳旧性足関節外側靭帯損傷と診断され,靭帯再建術適応となった患者26名(男性15名,女性11名,年齢25.3±11.2歳)とし,これを損傷群とした.損傷群は全例とも前距腓靭帯と踵腓靭帯の近位損傷であった.対照群は足部に既往のない成人20名40足(男性10名,女性10名,年齢24.5±3.2歳)とした.足部内転のJPS測定にはGoniometer foot plate(中村ブレイス社製)を用いた.測定肢位は足関節底屈20°,膝関節屈曲70°とした.JPS測定は,まず足部を目標角度まで自動的に内転させて5秒間保持した後に開始位置まで戻す.その後自動的に目標角度を再現させて再現角度を計測した.目標角度は5°から5°刻みで30°までとし,角度ごとに3回ずつ測定を行いその平均値を採用した.目標角度と再現角度の差の絶対値を絶対誤差(Absolute Error:AE)とした.統計学的検定は損傷群の損傷側と非損傷側および対照群のAEの比較には一元配置分散分析を用い,多重比較にScheffe’s F testを用いた.有意水準は5%とした.本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得て行われた.<BR>【結果】15°以上の全ての目標角度において損傷群の損傷側は対照群よりも大きなAEを示した(p<0.05).特に目標角度15°においては対照群のAEが1.4±0.6°,損傷側のAEが2.8±1.8°となり最も大きな差を示した(p<0.01).<BR>【考察】筆者らの先行研究(2008)と同様に足部内転目標角度が15°以上になり,外側にかかる伸張ストレスが大きくなると,損傷側のAEは大きくなると考えられた.Freemanら(1967)はネコの前距腓靭帯においてメカノレセプターは靭帯の近位および遠位の付着部に多かったことを報告している.本研究の損傷側が全例とも前距腓靭帯および踵腓靭帯の近位損傷であったことから,靭帯近位付着部に存在するメカノレセプターの損傷がJPS低下の原因である可能性が考えられた.さらに足部内転15°で最も大きな差を認めたことから,この角度が損傷側のJPS低下を検出するための有効な角度であることが示唆された.
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2008 (0), C3P3445-C3P3445, 2009
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680544252928
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- NII論文ID
- 10025220692
- 130004580982
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- NII書誌ID
- AA11429267
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- ISSN
- 13464159
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- NDL書誌ID
- 10160525
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可