頚椎椎弓形成術術後における頚部痛に運動療法が及ぼす影響
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説明
【はじめに】我々は第42回本学術大会において頚椎椎弓形成術施行後の頚部痛を検討し、大半は23日までに痛みが消失すると予測され、また術翌日のベッド上安静時から頚部痛が増悪した例では痛みが消失しないと報告した.しかし頚部痛緩和に対する運動療法の有効性は明らかにされていないため、当院で実施されている各運動療法の有効性を調査した.<BR>【対象】2005年5月~2007年7月に当院にて頚椎椎弓形成術を施行した 178例中疼痛と運動療法効果に関する問診が可能であった94例で、その内訳は頚髄症88例、OPLL6例(男性53名、女性41名)を対象とし、平均年齢は63.4(33~81)歳であった.<BR>【方法】運動療法は、術後1日目にベッドサイドにて四肢ROM-ex、2日目に離床し歩行練習、3日目に棘上部および肩甲骨内側の筋に対する徒手療法、4日目に肩甲帯モビライゼーション、5日目に肩および上部体幹に対する可動域運動としてプーリー、6日目に上肢筋力増強運動、7日目に頚部等尺性運動、14日目に頚部自動介助運動を加えた.そして毎回のリハビリテーション実施前後に頚部痛の程度をVASにて調査した.また退院時に患者自身による各運動療法の頚部痛に対する有効性を調査するために、運動療法効果程度を調査し、「0を無効」「10を非常に有効」としてVASを用いた.統計処理には頚部痛について各運動療法開始日における追加効果と実施前後の即日効果に対し反復測定分散分析を用い、主観的各運動療法の有効程度に対しFriedman検定後にScheffe検定を用い、有意水準を5%とした.<BR>【結果】各運動療法開始日のリハビリテーション実施前後での痛み変化はROM-exでは5.2→4.8、徒手療法では5.5→4.0、プーリーでは7.1→4.1、肩甲帯モビライゼーションでは6.9→4.0、上肢筋力増強運動では4.0→4.1、頚部等尺性運動では4.2→3.9、頚部自動介助運動では2.1→3.3であり運動療法追加効果および即日効果が認められた.退院時主観的各運動療法効果程度は徒手療法8.07、肩甲帯モビライゼーション7.02、ROM-ex7.01、頚部自動介助運動6.83、上肢筋力増強運動6.58、プーリー6.49、頚部等尺性運動5.93の順であり、徒手療法はプーリー、上肢筋力増強運動、頚部等尺性運動、頚部自動介助運動に対し有意差を認めた.<BR>【考察】頚椎椎弓形成術術後での頚部痛軽減、消失には日数が影響するものの、運動療法が痛みを軽減し、なかでも患者側からは頚部痛を軽減させるのにリラクゼーションが得られて「してもらう」運動療法で有効性が高く、頚部周囲筋力増強させるような「自分で行う」運動療法で有効性が低い傾向にあった.また頚部自動介助運動はリラクゼーションが得られるものの、アクティブで動かすこと、実施回数が少ないことが有効性を下げている要因となっていると考えられた.しかしながら頚部良肢位保持には頚部周囲筋力が必要と考えられ、頚部周囲筋力増強運動を実施できるように負荷、頻度等検討が必要である.<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), C0124-C0124, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680544262656
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- NII論文ID
- 110006799681
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可