CRT-D(両室ペーシング機能付き植え込み型除細動)施行された心不全症例について

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【はじめに】拡張型心筋症などの重症心不全患者の中には、右心室と左心室の収縮するタイミングがずれるという心臓同期不全が認められ、その同期不全は心臓の拍出効率をさらに悪くしている。そのような症例に対しては、2004年より保険適応されたCRT(Cardiac Resynchronization Therapy:心臓再同期療法)が認定施設で行なわれている。そのCRTに植え込み型除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)の機能が付随したものがCRT-Dであり、当院でも施行されている。今回CRT-Dが施行された重症心不全症例について、CPX評価も含めた臨床経過報告を行うこととする。<BR>【症例1】57歳女性。拡張型心筋症。07年4月畑仕事の休憩後に突然動悸出現し当院緊急入院。心エコー所見(LAD:37、LVDd:57、LVDs:52、EF18%)。入院時sustained VT あり。DC200J施行し1度でSRへ。CAG:冠動脈に有意狭窄なし、RVG:severeなTRあり、LVG:LV拡張・運動低下、EPS:VT誘発されず。入院翌日より心臓リハ開始。開始直後はHR:40~50bpmの徐脈であった。入院23日目にCPX(peakVO2:10.7ml/kg/min、AT:9.5ml/kg/min)施行。ATレベルでの運動療法開始。入院24日目CRT-D埋め込み術施行。翌日よりリハ再開。入院40日目に再度CPX(peakVO2:11.2ml/kg/min、AT:9.6ml/kg/min)施行。術後のATレベルでの運動療法を継続し、入院42日目に退院。<BR>【症例2】71歳男性。拡張型心筋症。06年12月頃より呼吸困難感が増強し当院入院。心エコー所見(LAD:48、LVDd:75、LVDs:69、EF16.4%)。CAG:冠動脈有意狭窄なし。LVG;diffuse severe hypo、dyssynchronyあった。入院翌日より心臓リハ開始。入院12日目にCPX(peakVO2:12.2ml/kg/min、AT:10.2ml/kg/min)施行。その後ATレベルでの運動療法開始。入院26日目CRT-D埋込み施行。翌日リハ再開。入院39日目に再度CPX(peakVO2:13.9ml/kg/min、AT:11.5ml/kg/min)施行。術後のATレベルでの運動療法継続し、入院51日目に退院。<BR>【考察】心臓リハビリテーションには、重症不整脈の出現域値を上昇させる効果がある。また今回のCRTは両室ペーシングを行なうことで、心拍出量の増加が期待でき、自覚症状を改善させる可能性が示唆されている。両者の効果の結果、重症心不全患者のさらなるQOLの向上が図れるものと考えられた。<BR>

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