変形性膝関節症と肥満に関する縦断的検討

Description

【目的】<BR>変形性膝関節症(膝OA)において肥満は重要な発症因子である.そのため我々はこれまでBMIの高い群には膝OAの割合が多いことを報告してきた.しかし,加齢に伴い身体には生理的減少が生じ,高齢者ほど身長・体重とも減少していることが明らかである.そこで今回は21年間の身体変化と膝OAに対し,BMIを指標とする肥満の再検討を行い,年齢と肥満および膝OAとの関連を明らかにすることを目的とした.<BR>【対象および方法】<BR>新潟県十日町市(旧松代町)において1979年以来7年ごとに行われている住民膝検診参加者のうち,第1回(1979年7月)および第4回(2000年7月)検診に両方とも参加した女性327名を対象とした.検診では,医師による問診,視診,触診,身体計測および立位膝前後X線撮影を行った.このうち身長と体重からBody Mass Index(BMI)を算出した.また第4回検診では体脂肪率(%fat)および簡易筋力計を用いての大腿四頭筋筋力測定を行った.得られた体重と体脂肪率から除脂肪体重(Lean Body Mass:LBM)を算出した.膝OAのgrade評価はKellgren-Lawrenseの分類に準じ,0から4の5段階で行い,第4回のgrade評価で0,1群(非OA群)と2以上群(OA群)の2群に分類した.年齢は第1回検診時の年齢を用い,40歳から5歳ごとの5群に分類した.また第1回と第4回の体重変化量を増減各5%未満,5~10%未満,10%以上の6群に分類した.年齢群,身長,体重,BMIの第1回と第4回の変化量,第4回の%fat,LBM,下肢筋力について膝OAとの関連を検討した.統計学的検討は傾向性の検定および分散分析を行い,5%を有意水準とした.<BR>【結果】<BR>対象者の73%は体重が減少していた.また60歳以上の群で身長,体重の減少は有意に高かった.しかしBMIの変化では各年齢群に有意な差を認めなかった.45歳~49歳および50歳~54歳の群は体重10%以上増加群の割合が他の年齢群より多かった.またOA群の割合は体重増加群に多い傾向が認められた.体重10%以上減少群ではOA群は非OA群に比べLBMの値が低かった.<BR>【考察】<BR>今回の縦断調査結果から,40歳以上の女性においてBMI値は加齢によりほとんど変化しないことが明らかとなった.また45歳~54歳の年代において体重が増加している割合が多かったが,この年代から肥満が継続し,関節に荷重ストレスが加わると同時に筋量や筋力低下が影響し,膝OAの発症と関連するものと考えられる.一方,実際には体重は減少している割合が多く,体重減少と膝OAについては,加齢に伴う筋力低下の影響が考えられる.さらにLBMの減少は筋量・骨量の減少を示唆するものであり,今後検討を加える必要がある.<BR><BR><BR><BR>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544291456
  • NII Article ID
    130005013996
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.c0881.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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