変形性膝関節症患者における片脚立位アライメントについて

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  • MP関節と足・膝関節機能軸、仙腸関節面との関係

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【はじめに】<BR> 変形性膝関節症(以下膝OA)患者における片脚立位での評価は、各関節における重心制御方略を簡便に把握する上で臨床上多く用いられる。自由度を失った膝OAに対して、足部、股関節、仙腸関節では動作を遂行するため、様々な方略を用いている。今回、片脚立位時のMP関節および下肢関節機能軸・仙腸関節面の位置関係を、健常人と比較・検討したので報告する。<BR>【対象】平成18年6月から10月に当クリニックを受診し、両側膝OAと診断された女性7名14膝<膝OA群>(平均75.8±5.8歳)の症例に計測を行った。また症例は、他部位に既往はなく、足部のOAも見られなかった。膝OAの病態(腰野の分類)は両膝共にGrade3でありFTAは180度以上の症例を選択的に計測した。健常人は、当院スタッフ5名10膝<健常群>(平均27±3歳)とした。<BR>【方法】<BR> 測定は足踏みを10回行った後の片脚立位(5秒静止)で行った。ASISとPSISを結んだ線を仙腸関節面(SI joint surface;以下SIJS)とし、裸足にて下からデジタルカメラにて撮影し、膝関節機能軸・足関節機能軸・第1,2中足骨頭を結んだ線(以下MP関節横軸とする)と第2,3,4,5中足骨頭を結んだ線(以下MP関節斜軸とする)を計測した。また、矢状面より外方への変位を(+)、内方への変位を(-)とした。計測には画像処理ソフトScion imageを使用し、小数第2位まで求めた。統計学的処理はt検定を用いて、有意水準5%未満とした。<BR>【結果】<BR>1、MP関節横軸(膝OA群:-18.99±4.8°、健常群:-27.22±4°)、斜軸(膝OA群:33.38±9.6°、健常群:32.84±1°)共に有意差は認められなかった。2、足関節機能軸(膝OA群:16.02±6.7°、健常群:9.62±3°)は有意差(p<0,05)が認められ、健常群に比べ足関節は外転していた。3、膝関節機能軸(膝OA群:12.83±4.2°、健常群:6.28±3°)は有意差(p<0.05)があり、健常群に比べ外旋していた。4、SIJS(膝OA群:28.09±6.2°、健常群:29.73±4.5°)に有意差は認めなかった。<BR>【考察】<BR> 膝OA群の片脚立位では、足関節と膝関節のアライメントを変化させ、動作を完成させている結果となった。足関節の機能軸は、健常群に比べ外転させることにより、少しでも側方での安定性を得ようとしていた。膝関節では内反・外旋・伸展位を保持することしかできず、大腿骨内旋・脛骨外旋によって得られる安定化機構が破綻していた。MP関節横軸の比較では、足部縦アーチの低下したことが示唆された。膝OA患者では、上半身の質量分布の変化に対して、下肢関節のアライメントを変化させる姿勢戦略を用いていることがわかった。<BR>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544297344
  • NII Article ID
    130005013992
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.c0877.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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