腰部脊柱管狭窄症患者の自主トレーニング
書誌事項
- タイトル別名
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- 胸郭,肩甲骨の可動性の変化により,腰痛症状・間欠性跛行が改善した1症例
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説明
【目的】 <BR>腰部脊柱管狭窄症特有の胸郭・肩甲骨の可動性低下に対して、胸郭をコントロールして二次的に肩甲骨の可動性に対してアプローチし、腰部・下肢の症状の変化を検討する。<BR>【症例紹介・経過】<BR>80代男性、体型はやや肥満、既往歴は50代に胆嚢切除術、現病歴はH18年5月より歩行時に両下肢に痺れを感じ、当院を受診した。腰部・股関節を中心に治療をしたが、効果に持続性は無かった。<BR>【初期評価H19年9月7日】<BR>胸郭の可動性測定体幹側方シフト:Th1左、0.5cm、右1.0cm、Th7左0cm、右0.5cm、Th12左0cm、右0cm°、体幹アライメント測定Th7と第7肋骨角:左30°、右35°、12肋骨尖端から腸骨稜:左7.5cm、右8.0cm、上半身重心:後左方変位、腹横筋収縮なし、JOAスコア:16点、10m歩行:13.12秒、25歩<BR>【自主トレーニング】<BR>1:座位で手を棒に乗せて足を支点にし、体幹を前屈させていき胸郭を伸展する2:座位で鏡に両肩とラインと同じ高さに線を引き、両肩に棒を担いで左右に体幹をシフトする3:棒を肩甲骨下角のレベルで持ち、上記と同じ運動を行う4:両肩に棒を担いで体幹を左右に回旋する5:棒を肩甲骨下角のレベルで持ち、上記と同じ運動を行う。回数やセット数は設定せず、暇な時行うよう指導。<BR>【評価H19年11月9日】<BR>体幹側方シフト:Th1左、3.0cm、右4.0cm、Th7左2.0cm、右2.5cm Th12左1.0cm、右1.5cm 、Th7と第7肋骨角:左35°、右40° 12肋骨尖端から腸骨稜の高さ:左8.5cm、右9.0cm、上半身重心:正中方向へ改善、腹横筋収縮軽度あり、JOAスコア:23点、10m歩行:11.47秒、23歩<BR>【考察】<BR>主訴である間欠性跛行は多裂筋や背部筋群の緊張による硬膜内・外圧の上昇によるうっ血が大きな問題となるが、胸椎後弯による後方重心の結果、腰椎前弯方向へのストレスを増加させてしまう環境ができており、胸郭のコントロールが腰部に加わる伸展方向への関節モーメントを減らすために重要だと考えた。運動1で胸郭を伸展しやすい環境を整えた後で体幹を左右へシフトさせることにより、胸郭だけではなく歩行時に重要な肩甲骨の可動性をバランス反応として獲得させることが出来た。体幹回旋により軸回旋をさせ、歩行時の重心動揺を改善するように意識させた。二次的にこれらの運動は多裂筋の反復収縮・相反性神経支配により、柔軟性の獲得・多裂筋との筋連結がある腹横筋の機能改善も認められたため、JOAスコアの改善・間欠性跛行が改善したと思われる。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), C0986-C0986, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680544374400
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- NII論文ID
- 110006800543
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可