足部障害を有する関節リウマチ患者に対する装具療法が痛みと歩行時足底圧へ及ぼす影響

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抄録

【目的】足部障害を有する関節リウマチ患者への装具療法の際,我々は歩行時足底圧の計測を行なっている.変形,胼胝,異常歩行などで生じる足底圧異常を把握し,装具による是正状況を確認するためである.しかし,足底圧異常をどの程度改善すればよいのか明確な指標は存在しない.装具療法の目的は,痛みの除去,変形の予防・改善,歩行能力の向上である.これらを達成する為に必要な足底圧是正の基準を把握する必要がある.そこで今回,我々は歩行時の痛みと足底圧の装具療法前後の変化を調査し,痛みの変化に関与する足底圧値を把握することを目的に研究を行なった.<BR>【方法】対象は,関節リウマチ患者9例,男性1例,女性8例,年齢60.0±18.5歳,罹病期間11.6±7.0年,Steinbrocker Class分類はIが2例,IIが6例,IIIが1例であった.足底面に痛みがなく,足部関節のいずれかに痛みが存在した症例のみを対象とした.全例に足底板,靴型装具を作製した.歩行時の痛みは,Short Form Mcgill Pain Questionnaire(SFMPQ)を用いて,装具装着前後で評価した.SFMPQからSFMPQ選択率,総得点(TS),Visual Analogue Scale(VAS),Present Pain Intensity(PPI)を抽出した.歩行時足底圧は,装具装着前後で計測し,最大足底圧,足底各部位の最大圧(足趾部,前足部,中足部,踵部),全平均足底圧,足底各部位の平均足底圧,荷重面積を抽出した.装具装着前後の比較では対応のあるt検定,χ2独立性の検定を用いた.また,痛みと各足底圧変化量の比較では,ピアソンの相関係数検定を用いた.<BR>【結果】1)装具装着により,SFMPQ選択率, TS, VAS, PPIは有意に減少した(P<0.05).2)歩行時足底圧は,装具装着により左最大足底圧,両足趾部・両前足部最大圧で有意に減少し,両中足部最大圧で有意に上昇した(P<0.05).また,右全平均足底圧,両踵部平均足底圧は有意に減少し,両中足部平均足底圧は有意に上昇した(P<0.05).3) TS, VAS, PPIと両側の各足底圧変化量の比較では,踵部平均足底圧は両足部ともVAS, PPIと相関がみられた(rs>0.4).全平均足底圧では,両足部とVAS, 左足部とPPI の間で相関がみられた.踵部最大圧では左足部とVAS, PPI,前足部平均足底圧では両足部とVAS,荷重面積では右足部とTS, VASの間に,相関および逆相関がみられた.<BR>【まとめ】1)装具装着により,痛みは減少した.歩行時足底圧は,アーチ構造による圧分散作用を反映した結果であった.2)痛みとの関係では,踵部の足底圧変化が最も関連していた.これは,足関節痛が主要な対象であったことを反映しているかもしれない.また,最大圧の減少は,あまり相関がみられず,平均圧の方が痛みの改善と関連するかもしれない.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), C0144-C0144, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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