MRIを用いた内・外閉鎖筋における筋活動様相の検討

  • 木下 一雄
    東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 平野 和宏
    東京慈恵会医科大学附属青戸病院リハビリテーション科
  • 千田 真大
    東京慈恵会医科大学附属病院放射線科
  • 角田 亘
    東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
  • 安保 雅博
    東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座

書誌事項

タイトル別名
  • ―屍体解剖による所見を基に―

説明

【はじめに】股関節深層外旋筋群は股関節の安定化に寄与している.しかしながら、股関節深層外旋筋群の訓練方法に関する科学的検証は我々が渉猟する限り行なわれていない.今回我々は内・外閉鎖筋に着目し筋活動評価の有用な評価法の一つであるMRIを用いて、内・外閉鎖筋の筋活動を検討したので報告する.尚、本研究は本学倫理委員会の承認を受け対象者の同意を得て施行した.<BR>【方法】対象は下肢、体幹に障害等の既往のない健常者6名(男性6名、平均年齢28±3.6歳)とした.予め当大学解剖学講座の実習用献体2体4肢(78歳男性、84歳女性)を用いて股関節を内外閉鎖筋と関節包だけとした状態で各運動肢位にて筋緊張を確認し運動課題を決定した.運動課題は外旋運動と内転運動の2肢位で施行した.外旋運動はマット上腹臥位で右膝関節屈曲90°に装具固定し、紐先に2kgの重錘を付けたものを滑車とベルトを介し内外果上端に装着し、股関節内外旋中間位から最大外旋位までの外旋運動をさせ、戻し動作は極力重錘の重さで行った.内転運動は右側臥位、股関節屈曲20°、内外旋中間位、膝関節伸展位にて股関節最大内転位までの運動を行った.いずれも右下肢で4秒に1回の運動速度にて3分間施行し表層筋の収縮を触知しながら施行した.測定順序は30分安静後のMRIを撮像し、各肢位にて運動後直ちにMRIを撮像した.各運動はランダムに施行し各運動間に30分の休息をとった.MRIの撮像はSIEMENS社製(1.5T MAGNETOM SYMPHONY)を用い2D MSE法、TR:3000ms、TE:9.8ms、骨頭下端から小転子の水平面3mmスライスのうち内外閉鎖筋を明確に同定しうる高さのスライスを選択しT2<BR>値を測定した.各筋の同一部位に関心領域を設定し安静時と各運動後のT2値を比較検討した.統計学的処理は内外閉鎖筋における安静時、外旋運動後、内転運動後のT2値をTurkeyの多重比較検定(SPSS ver.16)を用いて分析し、有意水準は5%未満とした.<BR>【結果】解剖観察では外旋運動は内外閉鎖筋、内転運動は外閉鎖筋による作用があると推察された.一方、MRIの測定に関しては、運動後撮像までの時間は5分26±28秒で、撮像時間は12分50秒であった.外閉鎖筋のT2値(ms)は安静時39.3±1.42、外旋運動後43.7±4.1、内転運動後42.0±2.9、内閉鎖筋では安静時40.3±1.1、外旋運動後42.1±0.9、内転運動後41.1±1.2で、内閉鎖筋における安静時と外旋運動後の比較でのみ有意差を示した.<BR>【考察】MRIによる評価では腹臥位での外旋運動にて内閉鎖筋のみ筋活動の増加が示された.今後、運動肢位や運動負荷の違いによる筋活動の変化を比較検討すると同時に、各肢位での表層筋、深層筋における筋活動の比較検討をする必要がある.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), C3P3427-C3P3427, 2009

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544455680
  • NII論文ID
    130004580964
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.c3p3427.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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