理学療法関連図書の図書分類の細分化について

  • 日高 正巳
    兵庫医療大学リハビリテーション学部理学療法学科
  • 川口 浩太郎
    兵庫医療大学リハビリテーション学部理学療法学科
  • 末廣 謙
    兵庫医療大学共通教育センター・図書館長

説明

【はじめに】理学療法に関する書籍は近年、急速にその数を増やしている。このことは理学療法学の体系化の兆しと捉えることができる。これらの書籍は、利用者が閲覧しやすいように一定の法則に従い、図書館に整理され所蔵されている。本邦における整理方法としては、社団法人日本図書館協会が作成する日本十進分類法(NDC)を用いているところが多い。NDCをみていくと学問としての体系化を知ることができ、理学療法に関する書籍の多くは、NDC494の細分類である494.78リハビリテーションの中にまとめられている。今回、理学療法学の体系化を念頭におき、図書分類を細分化したので、そのプロセスを含めて報告する。<BR>【細分化の過程】既存の分類方法に於いて、2桁の枝番以降については、著者のアルファベット順に整理されることになっているが、これでは、内容の類似した本を集約していくには不都合が発生する。一方、授業科目毎に関連図書を分類したのでは、学問的体系化にはつながらない。そこで、枝番を4桁まで展開することにした。展開方法については、医学ならびに看護学の展開を参考にし、リハビリテーション学基礎と理学療法学、作業療法学に分けた。なお、地域リハビリテーション学については、理学療法と作業療法を区別した図書が少なく学問的に分割することが適さないと考え、地域リハビリテーション学として1つにまとめた。3桁目の枝番1をリハビリテーション学基礎、2を理学療法学全般、3を理学療法評価学、4を理学療法治療学、5を地域リハビリテーション学とし、6以降を作業療法学関連に充当した。さらに、4桁目については、基礎については、解剖学、生理学、病理学、運動学等の専門基礎関連を医学分類に準じて割り当てた。評価学(枝番3)については全身病、循環器疾患、呼吸器疾患というように疾患区分を用いた。治療学(枝番4)については運動器疾患、神経疾患、内部障害系、小児というように対象とする障害像に応じた分類とした。<BR>【考察】図書分類では、既に体系化されている学問領域では3次区分内の1桁ないし2桁の枝番で分類されており、理学療法学については、外科学の中の一部を細分化したにすぎない状況であった。しかし、これでは体系化された学問領域毎に分類された書籍を所蔵しているという大学図書館の役割を考えても理学療法学は立ち後れを感じさせてしまう。学問としての体系化を目指す大学の役割を考えた時、どのように体系化を構築することができるのかということを図書館に示し、必要な分類を構築していくことは不可欠と考える。今回の図書分類の細分化を通して、理学療法学の体系の捉え方を考えることができ、今後の図書整備計画における資料を提示することができたものと考える。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), G1271-G1271, 2008

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544558464
  • NII論文ID
    130005016340
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.g1271.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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