フリークライミングワールドカップ帯同後の理学療法士スタッフへの意識調査

説明

【目的】<BR>埼玉県加須市市民体育館にてワールドカップ日本大会が,2007年10月13・14日の2日間行われた。海外遠征の活動においては, 1名の理学療法士(以下PT)が試合前後のコンディショニングを行っている。今回は母国開催と言う事もあり日本山岳協会に依頼を受けたPT6名が帯同した。帯同報告の発表は比較的に多いがPTへの調査は少なく, また6名の間で他の競技も含め携わった経験が異なるので,個々の考える問題点や改善策に相違があると考え,今後の帯同スタッフ育成方法を改善する目的で帯同直後に調査を実施した。<BR>【対象】<BR>対象は帯同したPT5名とし,クライミング競技に帯同していないが普段クライミング選手に携り他の競技で帯同経験のあるPT1名と,他の競技も含め未経験者や見学・補助が中心のPT4名に対し帯同直後,個別に聞き取り調査を実施した。<BR>【結果】<BR>1)『帯同中の問題点』に対し経験者は,各選手の基本情報が少ない,何でも良いからやってと日本選手に言われた, 事前に勉強したルールと実際の現場との解釈の相違,スケジュールの遅れによる選手の精神面も含めたコンディションの維持であった。経験の少ないPTは,PTの経験不足2件,評価・技術の不足,サポートと治療の境界線,選手・会場の緊迫感により思うように動けない,選手の求める事の理解に時間がかかる,今大会にトレーナー班が参加している旨のアナウンスの不足,選手事前情報の不足が各1件であった。2)『問題点の改善策』に対し経験者は,事前に選手情報の把握,サポート活動を円滑にする目的で合宿・他の大会の帯同であった。経験の少ないPTは,基本情報の作成,選手の評価をしっかり行う,現場の経験を増やす,現場で経験者の助言,ワークショップの開催が各1件であった。<BR>【まとめ】<BR>調査対象数が少ない為明確な比較は難しいが,1)『帯同中の問題点』に対し経験者は,選手と競技の関係の中でPTがどのように関わるかを主な問題点としている。経験の少ないPTは,PT自身の問題やPTと選手の関係について主な問題点としている。両PTの共通の問題点は,経験,情報不足であった。2)『問題点の改善策』に対し両PTで目的の質が違ったが,現場経験を増やす事,選手情報の把握であった。その他経験の少ないPTは,現場での経験者の助言やワークショップの開催であった。調査対象数を増やしていく必要もあるが今後の活動の課題として,協会と連携して選手へ帯同情報の提供,選手の情報はメディカルチェックも含めスタッフ全体で共有できる環境を作る。大会や合宿等で経験者と経験の少ないPTでグループを作り多くの経験を積む。また現場以外では競技特性やルールを含めたワークショップ等の開催が必要である。このような活動の積み重ねが競技に対するPTの不安を取り除き活動をより充実させる。よって選手や競技団体の信頼が得られるのではないかと考える。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), G1740-G1740, 2008

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544620800
  • NII論文ID
    130005016376
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.g1740.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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