切り込み入りのshoe-horn AFOの使用経験とその特徴

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  • Saga plastic AFOとの比較検討

抄録

【目的】<BR> 従来のshoe-horn AFOは足関節底屈が固く、背屈へやわらかく、その制動力の差が大きい特徴があった。今回、切り込み入りのshoe-horn AFO(以下新shoe-horn)を試作し使用したところ、Saga plastic AFO(以下Saga)のたわみに類似した底・背屈補助が得られ、患者の歩容が改善した。この新shoe-hornの使用経験を通して、Sagaと比較しながら特徴、機能、適応について検討を行った結果、若干の知見を得たのでここに報告する。<BR>【対象】<BR> 装具使用者の診断名は視床出血、障害名は右片麻痺( Brunnstrom recovery stage下肢5)であり、裸足での歩容は、右下肢立脚期に足尖接地で踏み切りも弱く、遊脚期では下垂足によりつま先の引きずりがみられた。<BR>【方法】<BR> 裸足歩行と、新shoe-horn、Sagaを対象に装着させ歩容の変化を比較する。2つの装具の初期背屈角度は8°で5mmのポリプロピレン板を用いて作製した。新shoe-hornの作製方法は、一般的なプラスチックAFOと同様である。その後、トリミングの際、卵形の切れ込みを加える。歩行評価は、装具装着前後での歩行時間、歩数、重複歩距離、歩行パターン他全14項目について行う。測定は10m歩行路を3回歩き、結果の平均値を算出し改善度の比較を行った。また、新shoe-horn、Sagaの可撓性は、装具を足関節が背屈20°、底屈20°の範囲内で5°ずつ可動させた際のばね秤の値を測定する。<BR>【結果】<BR> 新shoe-horn、Saga装着時の歩行の評価では、各項目で改善度の大きな差異はみられなかった。歩容では、裸足での歩容と比較し、足尖接地が改善され踵接地となった。踵接地後も膝関節が安定し、立脚相へのスムーズな重心の移行が可能であった。また、遊脚期に移行していく際の踏み切り動作も可能となった。両装具間で可撓性に1~2kgの差はあったものの、底・背屈方向に同等のたわみを有していた。また、新shoe-hornでは15°以上の背屈が制限された。<BR>【考察】<BR> 今回、調査では新shoe-horn、Sagaともに装着時の歩容の差異はなく、また、可撓性の測定でも、2つの装具は底・背屈方向に同等のたわみを有していた。従って、試作した新shoe-hornは、機能的に足関節底・背屈補助機能を有するものと考えられた。構造についてはSagaと比較して、装具の凹凸が少ない。特徴として、可撓性は、足関節内・外側にある卵形の切れ込みをトリミングすることにより増加させることが可能であり、病態の変化に応じた設定が可能となる。そのため、急性期から作製し使用できる脳卒中の短下肢装具として有用であると考えられる。また、背屈を制限でき、膝関節の安定性を得ることが可能であり、足関節底・背屈補助機能が必要な患者に適応があると考えられる。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2006 (0), B0127-B0127, 2007

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544679040
  • NII論文ID
    130005013679
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.b0127.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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