介入方法の違いによる運動習慣の変化について
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説明
【目的】<BR> 当院が平成16年度より実施している一泊人間ドック利用者を対象にした運動教室では、肥満度評価、WBI・MOUの測定、写真による立位姿勢の評価などを実施し、結果のフィードバックと運動指導を行ってきた。しかし結果のフィードバックと運動指導だけでは、運動の定着・意識向上が困難である事がリピーターアンケートより分かった。そこで運動教室にて運動計画をたて運動する為の先行的な環境整備を行った上で、その後にどのような介入方法をとれば対象者の運動の定着、意識向上が得られるかを検証することとした。<BR>【方法】<BR> 趣旨を理解し同意を得られた当院職員30名(年齢26.1±5.63歳)を対象とし、肥満度評価(以下初期時)と運動指導を行った後の介入方法の差異により10名ずつ無作為に、A群:その後アプローチ無し、B群:月一回郵送で健康情報を定期発送、C群:月一回理学療法士による定期運動教室開催、の3群に区分した。3ヵ月後再度評価(以下最終時)を実施、その際のアンケート結果より各群の初期時と最終時における行動変容ステージ(以下ステージ)と健康意識、運動意識の変化を比較した。ステージとは行動変容に対する準備段階のことで運動習慣のない前熟考期から熟考期、準備期、実行期、運動習慣が確立されている維持期までの5段階をいう。統計処理はWilcoxonの符号付順位検定を用いて行った。健康意識、運動意識は各々意識の高い方を高得点として各5点を5項目(計25点満点)とし、各群の初期時と最終時の平均点を有意水準5%未満でt検定を用いて統計処理を行った。<BR>【結果】<BR> ステージ分布の変化は各群間の有意差は見られなかった。特徴としてA群では目立った移行が無く、B群では準備期の増加(10%→40%)実行期の減少(60%→30%)、C群では準備期の減少(60%→40%)実行期の増加(10%→30%)がみられた。健康意識、運動意識の合計点の平均はC群にのみ初期時と比べ最終時に健康意識(P=0.019)、運動意識(P=0.028)と有意な上昇が見られた。 <BR>【考察とまとめ】<BR> アンケートの結果、3群ともにステージの有意な変化は見られず今回の介入では運動の定着には至らなかった。C群では健康意識、運動意識に有意な向上がみられ、意識の向上に伴う行動変容ステージの向上傾向があったことから、積極的な健康状態の把握と運動のセルフモニタリングが行われたことが示唆された。これらのことから運動の定着の為の意識の向上には適切な運動指導とその後の定期的な直接的フィードバックが必要であることがわかり、介入時期や頻度、介入内容など、運動習慣の定着に繋がるより効果的なフィードバック方法について再考することが今後の課題としてあげられた。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), A1526-A1526, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680544823168
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- NII論文ID
- 110006801083
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可