膝後十字靭帯2重束外側ルート再建術後のリハビリテーション
書誌事項
- タイトル別名
-
- 関節可動域運動の工夫と実際
説明
【目的】<BR>膝後十字靭帯(PCL)再建術は骨孔の方向や固定法の違いにより膝前十字靱帯(ACL)と比べ手術手技が確立されていない.また,関節可動域(ROM)や全荷重開始時期などの術後リハビリテーション(リハ)に関しても統一した見解が得られていない.またPCL再建術後,膝関節屈曲120°獲得時期が早い群ほど骨孔拡大を示す例が多くなり臨床成績が劣ることが報告されている. 我々は,骨孔の角度が極力移植腱にストレスを与えない外側ルートを用いてPCL2重束再建術を行い(石川,2005),それに加え比較的ゆっくりとした関節可動域運動(ROM-ex)を行っており,良好な成績が得られているため以下に報告する.<BR>【対象および方法】<BR>2003年10月から2006年5月までに外側ルートを用いたPCL再建術を行った15例を対象とした.男性13例,女性2例,手術時年齢18~60歳(平均32.5歳)であった.<BR>術後リハビリテーションは1週で1/6荷重開始,3週で1/3荷重,4週で2/3荷重,5週で全荷重を許可した.ROMは4~5週で屈曲90°伸展0°,10週で屈曲130°を目安とした.また,knee braceは3ヶ月間使用した.これらの症例に対し,1.KT-2000(AP total laxity患健側差;30lb,70°屈曲位) 2.Lysholm score 3.術後ROM 4.再鏡視所見,以上4項目を評価した.<BR>【結果】<BR>1.KT-2000は術後0.75±1.15mmであった.2.Lysholm scoreは術前平均56.4点が術後平均94.5点に改善した.3.ROMは平均で145°,伸展0°,伸展制限は存在しなかった.4.再鏡視所見は前外側枝は全例でボリューム,緊張ともに良好であったが後内側枝に若干ゆるみのある症例が3例あった.<BR>【考察】<BR>PCL再建術後に生じるROM制限(特に屈曲制限)に対し術後早期より無理なROM-exを行うと,再建靭帯および移植腱-骨孔間に大きなストレスが加わり,骨孔拡大や移植腱の断裂など様々な合併症を生じる可能性がある.PCL再建術後,屈曲120°獲得時期が早い群ほど臨床成績が劣ることが報告されているが,当院では屈曲90°獲得までを特に慎重に行っている.<BR>学会ではPCL再建術後のROM-exの工夫と実際および術後成績を発表する.<BR>
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2006 (0), C0918-C0918, 2007
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680544861952
-
- NII論文ID
- 130005014033
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可