車いすテニスプレーヤーにおけるスポーツ障害について

DOI
  • 木村 大輔
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 岩田 晃
    大阪府立大学総合リハビリテーション学部理学療法学専攻
  • 灰方 淑恵
    大阪府立大学総合リハビリテーション学部理学療法学専攻
  • 片岡 正教
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 藤本 愛美
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 川崎 純
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 奥田 邦晴
    大阪府立大学総合リハビリテーション学部理学療法学専攻

抄録

【はじめに】本学は2005年から大阪国際車いすテニストーナメント(以下OSAKA OPEN)大会事務局の要望に応え、OSAKA OPENに出場する車いすテニスプレーヤーへのメディカルサポート(以下サポート)を開始した.今回、2008年9月20日から23日に開催された第8回OSAKA OPENにおけるサポート結果を詳細に分析し、車いすテニスプレーヤーにおけるスポーツ障害について検討したので報告する.<BR><BR>【対象と方法】対象者は試合後にサポートを利用した選手45名(平均年齢41.1±9.4歳、男性34名 女性11名)とした.理学療法士が記載したサポート記録から1)原疾患、2)平均競技歴、3)サポート利用率、4) 障害部位、5) 痛みの生じる動作(サーブ、フォアハンドストローク、バックハンドストローク、車いす駆動)、6) 上肢の症状(痛み、スパズム、疲労)について集計を行った.また本研究は、大会事務局に協力と同意を得たものである.<BR><BR>【結果】1)原疾患は脊髄損傷者27名、切断3名、ポリオ2名、ギランバレー症候群1名、骨形成不全症1名、脳性麻痺1名、不明10名であった.2)平均競技歴は11.1±5.7年であった.3)サポート利用率45%、そのうち試合後の利用率は37%であった.4) 障害部位件数は、肩甲骨周囲52件、肩関節37件、前腕18件、肘関節16件、頚部16件、腰背部15件、手関節10件、上腕6件、胸部6件、手指4件、その他3件であった.5) 痛みが生じる動作はサーブ42%、フォアハンドストローク22%、車いす駆動19%、バックハンドストローク17%であった.6)上肢の症状は、痛み68件、スパズム85件、疲労92件であった.そのうちラケット把持側の痛み78%、スパズム66%、疲労63%であった.ラケット非把持側の痛み22%、スパズム34%、疲労37 %であった.<BR><BR>【考察】一般のテニスで障害を最も生じやすい動作はサーブであると報告されており、本研究でも同様の結果を得ている.このことから車いすテニスにおいても、サーブ動作はプレーヤーに負担の大きい動作であることが示唆された.また、ラケット非把持側の症状も多く、この要因としてストップやターンといった車いす駆動による上肢への負荷が考えられる.一般のテニスの上肢障害は、肘、手関節、肩の順に多いことが報告されているが、本研究では肩、肘、手関節の順と異なった結果であり、車いすテニスプレーヤーでは肩の障害が多くみられた.この要因として、原疾患による体幹機能低下や一般のテニスと同じ高さのネットを使用していることが考えられる.今後は車いすテニスにおけるターンなどの各動作と障害との関連を検討する必要がある.アダプテッドスポーツが障がい者の社会参加に果たす役割は大きく、今後もプレーヤーが安全に競技を続けていけるよう積極的に支援していきたい.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), C3P2404-C3P2404, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544895744
  • NII論文ID
    130004580802
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.c3p2404.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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