褥瘡ゼロを目指して!

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タイトル別名
  • 褥瘡に対する理学療法士の介入

抄録

【目的】近年、理学療法士(以下PT)の褥瘡対策への介入は重要視されてきている。当院でも2006年12月より褥瘡対策チーム(以下チーム)へPTが介入し、活動を行った。ここではPTの具体的な活動内容、介入前後の発生率の変化、近赤外線治療(以下Super Lizer HA550S:SL)を行った症例の報告をする。<BR><BR><BR>【方法】PT介入前後6ヶ月間の当院発生数、褥瘡重症度(NPUAP分類による)、発生率を調査した。PTのチーム内での活動内容は、身体スクリーニング、ポジショニング、体圧測定、SL、体圧分散寝具の選定である。褥瘡予防対象は褥瘡危険因子とされる六項目(動作能力・病的骨突出・関節拘縮・栄養状態低下・皮膚浸潤・浮腫)を評価し、危険度の高い患者に対して入院時より介入している。発生・増悪予防として、好発・発生部位の体圧を簡易圧測定器(セロ)で測定し、その結果から体圧分散寝具、ポジショニングを検討し良好な環境設定を行う。また、車椅子上や体位変換時、リハビリテーション時での姿勢や注意事項をリハスタッフ、看護スタッフに対し指導を行っている。治療はチーム内で検討し、適応患者に対しSLを行っている。適応患者基準と照射条件は赤木らの報告を参考にした。<BR>なお、報告内の患者には研究に対する説明と同意を得ている。<BR><BR><BR>【結果】介入前6ヶ月間の当院発生11例 褥瘡重症度(1度:4例、2度:7例) 発生率1.2%<BR> 介入後6ヶ月間の当院発生5例 褥瘡重症度(1度:4例、2度:1例) 発生率0.5%<BR> SL施行者:完治例83歳、男性(持ち込み例・4度) <BR> 改善例80歳、女性(持ち込み例・4→2度)<BR><BR><BR>【考察】PT介入前後を比較し、当院の褥瘡発生数、発生率の減少が見られた。これは入院時から体圧測定などの介入を行うことで、褥瘡の早期発見、発生予防が実践出来たと思われる。要因として、看護スタッフとの連携による体位変換時の工夫や、定期的な勉強会、週一回の褥瘡回診時の指導・伝達を行うことにより、リハスタッフ、看護スタッフへ褥瘡に対する意識づけを促すことが出来たと考える。<BR> SLでは、完治例、改善例共に約150日の介入となった。施行者2例は完治・改善となったが、褥瘡の適切な処置や栄養状態の改善なども治療要因となることから、SLは確実な有効性があったとはいえない。しかし臨床経過からは褥瘡に対する治癒促進効果を示唆することが出来た。今後、褥瘡治療の有効性を立証できるよう、研究に取り組んでいきたい。<BR><BR><BR>【まとめ】褥瘡を取りまく環境はこの10年で急速に発展を遂げている。現在、チームにおいて医師、看護師を始め、多職種が関わっている。この中でPTがポジショニングなど、専門性を活かし関わることが褥瘡予防に重要である。今後、褥瘡発生「0」を目標に、褥瘡予防に取り組みたい。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), F1021-F1021, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544972928
  • NII論文ID
    130005016252
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.f1021.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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