脳出血モデルラットにおけるCI療法の効果に関する検討

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【目的】 脳卒中片麻痺に対する新たな治療法として、非麻痺側上肢を固定し麻痺肢の運動を促す“Constraint-Induced Movement Therapy”(以下CI療法)が紹介されている。CI療法による機能回復のメカニズムの一つとして脳の可塑的変化が考えられているが、モデル動物を使用した研究報告は少なく、脳の組織学的変化については不明な点が多い。本研究では脳出血モデルラットを用いてCI療法を実施し、運動機能の変化と運動関連皮質における組織学的変化の関連について検討した。<BR>【方法】 本実験は名古屋大学医学部動物実験委員会の許可を得て行った。実験動物には8週齢Wistar系雄性ラット(n=20)を用いた。脳出血群(n=16)とSHAM手術群(n=4)に分け、脳出血群をさらに1)非麻痺側前肢の拘束をした上で運動療法を行う群(拘束運動群、n=5)、2)拘束のみを行う群(拘束群、n=3)、3)運動療法のみを行う群(運動群、n=4)、4)非治療群(n=4)の4群に分けた。脳出血モデルは深麻酔下にてコラゲナーゼ(type IV,200 U/ml,0.7μl)を左線条体に注入して作成し、SHAM群には同量の生理食塩水を注入した。術後7~13日目より拘束ならびに運動療法を行った。拘束はラット用ジャケット(Lomir社製RJ02)を用いて1日8時間行い、運動療法は前肢のリーチ動作訓練と車輪走行訓練を1日各30分ずつ行った。術後14~18日目には運動機能評価(Montoya Staircase test,Horizontal ladder test,Limb use asymmetry test)を行った。術後19日目に深麻酔下にて経心的に生理食塩水を灌流して脱血し、脳の採取と切片(厚さ200μm)の作成を行った。その後Golgi-Cox染色により両側の一次運動野(前枝関連領域)および運動前野・補足運動野における樹状突起の形態を観察した。<BR>【結果】 麻痺肢の機能回復に関しては、Staircase testにおいて拘束運動群が非治療群と比べ有意に良好な成績を示した(P<0.05)。拘束群及び運動群でも回復は認めたものの僅かな程度であった。その他のテストに関しては統計学的な有意差は認めなかったが、拘束運動群が他の脳出血群より良好な成績を残す傾向がみられた。なお非麻痺肢の運動機能については全群とも同程度の成績を残した。またGolgi-Cox染色像では、拘束運動群で豊富な樹状突起の分枝が観察された。<BR>【考察】 線条体出血後のCI療法は麻痺側上肢の運動機能を向上させる可能性が示された。加えて拘束または運動療法単独では効果が薄かったことから、患肢の集中的な使用が運動機能改善の重要なファクターであると考えられる。またCI療法を行った群は樹状突起の分枝が促進する傾向があり、神経回路の再編成が生じて運動機能改善に寄与している可能性が考えられる。

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