片松葉杖歩行により体幹・下肢に二次的障害を引き起こした症例

DOI
  • 田島 健伸
    八王子スポーツ整形外科 リハビリテーションセンター

書誌事項

タイトル別名
  • ―左リスフラン関節捻挫の症例報告―

抄録

【はじめに】<BR>左リスフラン関節捻挫を発症し、長期片松葉杖歩行を行うことで、体幹・下肢にも二次的な障害が出現した.そのため、足部のmalalignmentが助長され、疼痛を増強させた症例を経験した.今回、松葉杖の除去及び体幹へのアプローチの結果、疼痛に若干の改善がみられたのでここに報告する.<BR>【症例紹介】<BR>50歳、女性.診断名:左リスフラン関節捻挫、足部軟骨損傷.現病歴:10年前に階段から足部底屈位で転倒し、左リスフラン関節部に疼痛と腫脹出現.安静にすることで短距離歩行疼痛なし.長距離歩行で疼痛あり.2007年7月に仕事中に急に以前と同じ箇所に疼痛出現し、片松葉杖歩行にて当院受診.<BR>【理学療法評価】<BR>患側測定.疼痛評価としてVisual Analogue Scale(以下、VAS)を用いた.疼痛は日により変動あり.外果下部VAS0~9点、ショパール関節部0~10点、リスフラン関節部0~10点、足底部0~7点、大腿外側部0~6点、大転子上部0~6点.ROM制限なし.MMTは4レベルがハムストリングス、中殿筋、大腿筋膜張筋 、大腿四頭筋、前脛骨筋.3レベルは足部内反筋群、外反筋群、下腿三頭筋.体幹の筋力低下なし.筋緊張では重度亢進として多裂筋、腰腸肋筋、胸最長筋.中等度亢進は左側腸腰筋.軽度亢進は右側腰方形筋、右側腸腰筋.中等度低下は腹筋群.Leg-heel alignmentでは左側回内足.アーチ高率正常.<BR>【姿勢・歩行】<BR>座位・立位姿勢にて胸椎後弯、骨盤後傾位.左側股関節内旋位、膝外反位.立位では腰椎の前弯過多のため骨盤前方偏倚、左側下腿前傾位.片松葉杖歩行は胸椎後弯し、骨盤は前方偏倚.左側下肢を外側に振り出し、左側立脚初期では股関節内旋・膝外反出現.足部内側接地し、足部の過回内を助長している.立脚中期にて体幹の右側屈出現し、骨盤は左側方向へ移動する.<BR>【経過】<BR>松葉杖を除去し、体幹のアライメント不良に対してアプローチを実施.週2回の頻度で3ヵ月間(2008/5/8~8/3)介入し、胸部・腰部のmobilization、腹部深層筋群の強化、臥位・立位にて頚部~骨盤帯のアライメント調整を行うことで座位・立位姿勢改善.歩行でも体幹の動揺、股関節内旋・膝関節外反軽減し、足部過回内消失.疼痛は外果下部、足底部、大腿外側部、大転子上部の疼痛消失、ショパール関節部、リスフラン関節部の疼痛軽減(VAS0~6点).<BR>【考察】<BR>長期の片松葉杖歩行により体幹・下肢にアライメント不良が生じ、その結果、体幹・下肢の代償動作が出現し、疼痛を増強させ、下肢全体の筋力低下を引き起こしたと考えられる.今回、松葉杖の除去と体幹のアライメント調整を行うことで、各姿勢において体幹のアライメントが整い、下肢のアライメント及び歩行時の足部からの運動連鎖も正常化された.その結果、下肢の筋力も向上し、外果下部、足底部、大腿外側部、大転子上部の疼痛消失.ショパール関節部、リスフラン関節部の疼痛も軽減した.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), C3P1478-C3P1478, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680545243904
  • NII論文ID
    130004580740
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.c3p1478.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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