立位条件による重心動揺面積,安定域面積,姿勢安定度評価指標,主観的安定感の変化

  • 望月 久
    文京学院大学保健医療技術学部 首都大学東京大学院人間健康学研究科
  • 金子 誠喜
    首都大学東京大学院人間健康学研究科

Description

【目的】<BR> 立位条件の難易度を変えて立位姿勢保持能力をみる直立検査は、静的バランス能力の検査法として広く用いられている。本研究では足位および視覚条件を変えて、重心(足圧中心)動揺面積、安定域面積、姿勢安定度評価指標、主観的安定感を測定し、立位条件による各指標の変化および主観的安定感と他の指標との関連性について検討することを目的とした。<BR>【方法】<BR> 首都大学東京の倫理委員会にて研究の承認を受け、被験者の同意を得て測定を実施した。被験者は健常者16名(平均年齢34歳)であった。足位は支持基底面の広さの順に、1)20cm開脚位、2)10cm開脚位、3)閉脚位、4)閉眼閉脚位、5)左片脚位とした。被験者は裸足または薄手の滑らない靴下を履いた条件で重心動揺計に乗り、前方には目標物を設けないで両腕を体側に垂らし立位姿勢を保持した。重心動揺は、中央、および前方・後方・右方・左方の順で重心移動した位置において、初期の大きな動揺がおさまった時点から15秒間測定した。重心動揺面積は中央における矩形動揺面積とした。安定域面積は前後、左右の重心移動位置における平均重心位置の距離を乗じた矩形面積とした。中央および前方・後方・右方・左方に重心移動した位置における矩形重心動揺面積の平均値を平均重心動揺面積とし、姿勢安定度評価指標(IPS)をlog〔(安定域面積+平均重心動揺面積)/平均重心動揺面積〕として算出した。主観的安定感の測定には、0(姿勢保持不能)から10(強く押されても絶対に姿勢を保てる)の主観的安定度評価尺度を作成し、被験者に各立位条件における立位保持の安定性を尋ねた。<BR>【結果】<BR> 各立位条件における評価指標の平均値±標準偏差は、重心動揺面積、安定域面積、IPS、主観的安定感の順で、20cm開脚位:0.6±0.4cm2、266±48cm2、2.32±0.10、9.7±0.6、10cm開脚位:1.3±0.8cm2、190±46cm2、2.04±0.10、8.4±1.2、閉脚位:2.5±1.2cm2、97±32cm2、1.53±0.14、7.5±1.5、閉眼閉脚位:7.1±4.4cm2、67±30cm2、0.91±0.18、5.1±1.4、左片脚位:5.2±2.7cm2、14±4cm2、0.54±0.09、4.5±1.4であった。IPSの変動係数は4~20%で最も小さかった。主観的安定感との相関は重心動揺面積:r=-0.84±0.17、安定域面積:r=0.86±0.09、IPS:r=0.92±0.06であった。<BR>【考察】<BR> 支持基底面が狭くなるにつれて、重心動揺面積は増加、安定域面積は減少、IPSは低下した。重心動揺面積は閉眼条件で大きく増加し左片脚位より大きな値を示したが、他の評価指標を総合すると、直立検査は立位条件の1)~5)の順の難易度になっていることが確認できた。IPSは変動係数が小さく、また主観的安定感との相関も高かったので、バランス能力の測定に最も適していると思われた。<BR><BR>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680545271296
  • NII Article ID
    130005014654
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.a0018.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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